吹出しについて

吹出しについて

 吹出しについて、普通の参考書ではあまりにいい加減にしか触れられていないことに、試験合格後、実技講習を受けていて気づきました。
 これは実技講習できちんと説明してくれたからではなくて、実技講習でもよくわからなかったからです。

連続吹出しと間欠吹出し

 ボイラーは、水を焚いて蒸気を発生させるので、蒸気がどんどん出ていき、残った水の中に不純物がどんどん圧縮されてきます。この濃縮された蒸発残留物を排出させるのが「吹出し」です。
 この吹出しには、濃縮された蒸発残留物を適宜排出させるのが目的の①「連続吹出し」と②「間欠吹出し」のほか、③ボイラー水すべてを排出する全吹出しがあります。
 全吹出しのための装置としては、間欠吹出し用の吹出し弁と併用する「水冷壁管寄せの吹出し」があります。
 これらがあることについては、どの参考書にでも触れてあるでしょうが、それぞれこれらの吹出しは、別の装置で行い、目的が違うという所をきちんと押さえてある参考書は少ないのではないでしょうか。

吹出しの種類 位置 目的
間欠吹出し ボイラー内胴底部 ボイラー水の濃度を下げ、ボイラー底部にたまっているスラッジを排出する
連続吹出し ボイラー内水面近くの吹出し管と吹出し内管 ボイラー水の濃度を下げ、浮遊物を排出する
水冷壁管寄せの吹出し 水冷壁ヘッダー(管寄せ) ボイラー停止時ボイラー水の全量を円滑に排出するために、間欠吹出し用の吹出し弁と併用

 この説明自体は、『ボイラー実技テキスト』からの引用ですが、吹出しの説明については、P79から始まり、間欠吹出し・連続吹出しについてはP80、間欠吹出し装置についてはP21、連続吹出し装置についてはP23に記述があります。
 水冷壁の吹出しについては、『ボイラー実技テキスト』には用語の記述だけで、説明が一切なくて、『最短合格2級ボイラー技師試験「技術科目」 目で見て、読んで「わかりやすい」』P216から。
 引用した『ボイラー実技テキスト』だけでなく、『最短合格2級ボイラー技師試験「技術科目」 目で見て、読んで「わかりやすい」』などでも、関連説明が離れたページに別々に記述されているために、こちらは関連説明が圧倒的に多いにもかかわらず、やっぱり「吹出し」についてのはっきりとしたイメージを持ちにくいという事情は変わりません。
 実際にボイラーに携わっている方は、こんなことは当然なのでしょうが、我々のように参考書だけを頼りに理解しようとしている人間にとっては、似たような操作や機能の違い、さらには、それをする目的など、最も基本的な共通点や相違点について、きちんと押さえて説明しようとする姿勢がない解説書は、理解しにくいことこの上ありません。
 そして、これは、枝葉の説明が多くなればなるほど、よけい訳が分からなくなってしまいます。
 このような説明をきちんと押さえてくれる参考書がないことが、「ボイラーというのは、過去問をぶっつけでやるのが一番」などという暴論が支持される所以(ゆえん)なのでしょう。

基本の原理原則が分かれば、枝葉の理解は簡単

 「間欠吹出し」が、底にたまっているスラッジの排出を目的に行われることが分かっていれば、なるべくスラッジが底にたまっている状態で行うのが当然です。ボイラー全開で、浮遊物が水全体に踊っているときにするバカはいません。ボイラーの負荷が低いときや、消火後約30分ぐらいの時、または点火前に行うのが当たり前です。
 閉回路で使用する温水ボイラーでは、不純物はほとんど濃縮しないため、吹出しはしません。
 鋳鉄製ボイラーの場合は、原則、復水を循環使用するため、運転中の吹き出しは必要ありません。
 それに、運転中に吹出しを行うと、温まったボイラーに冷たい水を流し込むことになるので、熱の不同膨張によって本体に割れが生じてしまう恐れがあります。
 連続吹出しは、運転中連続して吹出しをするのですから、「ボイラー水の濃度を一定に保つように調節弁によって吹出し量を加減し、少量ずつ連続的に吹出しを行います。
 そして、連続的に吹出すのですから、そこで温められた吹出し水の熱を無駄にしないように、熱回収をします。
 水冷壁は、水管ボイラーの耐火壁を冷却する役割を担っています。運転中に吹出しをするとその機能が果たされないで空だき状態になってしまうため、非常に危険なのは言うまでもありません。

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