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出題区分の改訂

実務に即した内容に改訂されるが

もうご存じだと思いますが、平成27年4月1日に出題区分表の改訂が発表され、平成28年度から、平成30年度までにかけて、段階的に出題範囲が変更されることになっています。
 そのため、平成27年度においても、変更が予定される論点については、出題されなくなっています。
 たとえば、

 有価証券の評価替え
 為替手形
 5伝票制

が3級から出題されなくなり、伝票の集計・管理が追加されます。
 これによって、会計実務に即した検定試験内容になるように見直しがはかられています。

 為替手形が消えることによって、
    買掛金    売掛金(支払手形ではなくて)
というような仕訳が消えるので、この間違いはなくなります。
 しかし、実務重視ということで、第5問などで、従来の精算表の作成ではなく、第138回からは、貸借対照表と損益計算書を作成するような問題が出題されるようになっています。
 従来型の精算表なら、出題されるパターンを覚えて、借方と貸方の整合性があるように表を埋めていくだけでした。しかし、貸借対照表と損益計算書を作成するとなると、本質的には同じことをやるだけだとはいえ、どこに何を書いていけばよいか、各項目の意味を正確に把握しておかないと、とても分かりづらくなります。
 たとえば、試験本番の第5問で、私は貸借対照表の借方側に未払費用を、貸方側に前払費用を書くという馬鹿な間違いをして、当期純損失が合わず、この間違いに気付くのにとっても時間を食いました。
 でも、未払費用は負債、前払費用は資産だということが実感として感じられていれば、こんな馬鹿な間違いなどするはずはありません。精算表を、あまり意味を分からないまま借方・貸方の操作だけで勉強しているから、こんなことになります。
 今回の改訂で第5問に精算表ではなく、貸借対照表と損益計算書とを書くように求められるようになってきたのも、このような簿記の本質的な部分をきちんと把握できているかどうかを試したい、という気持ちの表れであると思います。
 でも、こうなってくると第141回同様、第142回も、3級の合格率が26.6%とかなり低くなっています。問い方をちょっと変えるだけで、これだけ合格率が下がってくるということは、これまで、簿記の本質を理解しないまま、3級の試験に合格していた人が多かったということです。
 精算表で問うという形式が、そのような安易さを生んでいたのです。
 実務重視ということでは、今回第3問の試算表の問題で、月々の取引の中に当座借越になる場面が出ていました。これが第1問の仕訳などではなく第3問で出るのは近年ないことなのではなかったでしょうか。これなども、とても難しくなっています。
 また、簿記をやっている人なら常識的だといえることでも、独学をしていて、過去問を解くことを頼りに知識を仕入れている私のようなものにとっては、過去問にこれまで出てこなかった簿記の常識、特に新たに加わった伝票の集計・管理などというものを第2問や第4問などで問われると、総崩れになりかねません。
 そういう意味で、これからの何回分かは、出題範囲をはかりづらい、対応の難しい回になりそうです。

日商簿記検定3級合格率グラフ

勘定科目の変更も

 たとえば、第138回まで、「売買目的有価証券」といっていたものが、今回(第142回)からは、「有価証券」という勘定科目に変わっています。特に第1問において、指定勘定科目を使わないと×でしょうから、過去問を解いていて、常識として、「売買目的有価証券」に慣れ親しんでいる人は、要注意です。
 ちなみにこれは、3級で有価証券の評価替えが出題されなくなったので、有価証券の種類をきちんと言い分ける必要が無くなったことによる変更のようです。
 この件に限らず、第1問は、所得税預り金・引出金・資本金など、指定された勘定科目を使わなければなりませんから、指定勘定科目を指さし確認して使いましょう。

予想問題集も利用した方が無難

 過去問を解いていると、さよなら論点がたくさん出題されています。難しい内容が減るだけですから、気にしないなら、そのまま勉強するのもいいですが、検定に受かることが最優先なら、無くなる論点を馬鹿正直に勉強することもありません。ですが、過去問の場合、それらを避けて問題演習をすることはできないので、今のように試験内容の変更途中の現状では、自分が目指す回用の予想問題集も併用した方がいいように思います。
 それに、実務重視ということで、これまではあまり問われなかったが、これからは問われるかもしれない簿記の基礎事項などもまだありそうです。
 予想問題に触れることで、それらの論点のいくつかでも用意しておけば、過去問を頼りに自分だけで勉強するよりも、手厚い対策ができるのではないでしょうか。
 なお、予想問題集は、出版社によっては4ヶ月ごとに編集し直されて、一回一回次の試験用のものが出版されている場合があります。今年のようにどの様な問題が出てくるか変更途中にある場合は、前回までの出題を見て、対策を練り直すことも必要です。1年単位の編集ではなく、このようなこまめな編集・出版をしている予想問題集を選びましょう。
 また、書店によっては前回の試験用の本がまだ売れ残っている場合も多いので、注意が必要です。

あてるTAC直前予想 日商簿記3級』は役に立った

 上のようなことを考えて、過去12回分の試験を2回通り、プラス第138回までをもう一回さかのぼったところで、試験の2日前に、遅まきながら『あてるTAC直前予想 日商簿記3級』を買ってきて、前日の土曜日に丸1日かけて4回分を勉強してみました。
 これが、今回第142回の第2問で出てきた、商品有高帳の作成ではとても役に立ちました。
 一つは、A商品、B商品と仕入帳に載っているのに、商品有高帳で問われているのは、A商品についてだけだから、B商品については、全く無視してしまえばいいこと。
 もう一つは、商品の仕入・返品・売上については商品有高帳に記帳しなければならないが、売上についても、商品有高帳には売上額ではなく、仕入れた値段しか記入しないので、売上の値引は記帳しないこと。
 この2つを、『直前予想』で新たに学習していたので、今回第2問を解くときに、全く迷わないですみました。
 また、今回出題されたように、第5問の決算整理仕分けをして、貸借対照表・損益計算書を作成する形式の問題は、今後よく出題されるようになってくると思います。
 この形式の練習もできました。
 ちょっと投入時期が遅すぎましたが、それでも、972円の投資は、私の場合価値があったと思います。
 ただこの問題集は、第3問の試算表の問題が、本試験よりは少し難しめ(作業量が本試験よりも多い。しかも、金額が複雑。)です。そのあたりは、この問題集を直前に解いて合格点にならなかったからといって、自信喪失になってしまうことはないようにしましょう。

会計期間が1月1日からでないことも

 会計期間が1月1日からばかりではないことを意識させてくれたのも、『あてるTAC 直前予想 日商簿記3級』でした。
 費用の繰延や減価償却費を考えるときには、1月1日を起点に考えていたのが、ちょっと起点が変わるだけでものすごく考えにくくなります。こういう場合に慣れておくことも大切なことです。
 また前期から引き続き保険契約などをしている場合の前払費用がたとえば4ヶ月ある場合に、支払保険料として計上されている額から、前払保険料を推定するには、前払保険料を12+4の16ヶ月分と考えるべきことも勉強になりました。
 今回の試験では出ませんでしたが、実務重視に試験が移行していく中、これらは今後出題が予想される論点だと思います。