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相続税の計算の仕方

 『パーフェクトFP技能士対策問題集 学科編 2級 '16~'17年版』 P323

 以下のケースで配偶者の納付すべき相続税額(配偶者の税額軽減適用後)として、次のうち最も適切なものはどれか。
 相続人:配偶者、子3人(計4人)
 課税価格の合計額:4億8,000万円(うち配偶者相続分3億3,600万円)
 相続税の総額:1億1,175万円
1)7,822万5,000円
2)3,611万円
3)2,235万円
4)   0円



                                       答え 3

 3級ではここまでの理解はいりません。しかし、2級ではここまで聞かれます。難しい。
 こんな問題を出されると、相続税額をどうやって決めていくのかという流れが分かってないと、いろいろなことがこんがらかって、知識があやふやなまま、訳が分からないくなります。
 試験問題では、この問題のように、手続きの流れのうちの途中の一部分だけが問われるので、どこの部分が問題にされているのかを、きちんと把握しながら解いていく必要があります。

相続税の総額

 例えば、この問題の場合、前提として分かっていなければならないことは、「相続税の総額というのが何なのかということです。
 「相続税の総額というのは、まず、法定相続分通りに相続した場合にかかる相続税額を計算したものです。

 課税価格
 相続・遺贈・死因贈与で取得した財産
 +みなし相続財産+相続開始前3年以内の贈与財産
 +相続時精算課税を選択した贈与財産
 -非課税財産-債務・葬儀費用など

 上の式で課税価格を決定した後、それを法定相続分通りに相続したものとして、「相続税の総額」を求めます。
 その作業には、まず、
 課税価格から、基礎控除の額を引いて、課税遺産総額を求めます。
 この問題の場合、人物関係の詳しい説明はありませんが、想定されているのは、妻と子供3人がいて、そのそれぞれが放棄をせずに相続するというケースのようです。
 ここでは、そのケースで考えることにします。
 この場合の基礎控除額は
  基礎控除=3,000万円+600万円×3=5,400万円
です。
 それで、
  課税遺産総額=4億8,000万円-5,400万円=4億2,600万円
 これを、各人が法定相続分通りに相続したとして、法定相続分に応じる各人の取得金額を計算すると
  妻 4億2,600万円×1/2=2億1,300万円
  子 4億2,600万円×1/2×1/3=7,100万円
 これから、下のような相続税の速算表を見ながら、各人の相続税を計算します。

 〈相続税速算表〉(税額=A×B-C)

法定相続分に応ずる取得金額(A)税率(B)控除額(C)
5,000万円超 1億円以下30%700万円
2億円超 3億円以下45%2,700万円

  妻 2億1,300万円×45%-1,700万円=6,885万円
  子 7,100万円×30%-700万円=1,430万円
   相続税の総額=6,885万円+1,430万円×3=1億1,175万円

 ここまででやっと、問題文中にある「相続税の総額」というのが出てきました。上掲の問題では、ここまでの作業を前提として、ここから先の計算を求められているのです。
 ですから、この問題を解くときに、「基礎控除は……?」というようなことを考えているとしたら、それはもう、「計算途中のどこが問題になっているのかを全く分かっていない」ということです。この問題ではもう既に処理されていることを、的外れにぐちぐち考えているにすぎないのですから。

各人の算出相続税額

 財産の取得割合に応じた各人の算出税額を求めた後に、各個人の事情を考慮して一定の加算や控除などの調整を行って、最終的な各人の納付税額を決定します。

 各人の算出相続税額=相続税の総額×(各人の相続額/課税価格の合計額)

2割加算

 相続や遺贈により財産を取得した者が、配偶者および被相続人の一親等の血族(父母・子・代襲相続人となった孫)以外の者である時は、上記の算出税額に2割を加算した金額が、納税額となります。
 被相続人と養子縁組をしている孫も、代襲相続人でない限り、2割加算の対象者です。

配偶者の税額控除

 さてやっと、問題の解答への準備ができました。

 配偶者の税額軽減額)=相続税の総額×(下記の①②の内、少ない金額/課税価格の合計額)
  ①課税価格の合計額×法定相続分
    (1億6,000万円未満の場合は1億6,000万円)
  ②配偶者の取得した財産の課税価格

 これが、軽減額ですから、配偶者の算出相続税額から軽減額を引いて、配偶者の相続税額を求める式を作ると、

 配偶者の相続税額(軽減時)=相続税の総額×(配偶者の取得した財産の課税価格-①②の内、少ない金額)/課税価格の合計額
  ①課税価格の合計額×法定相続分
    (1億6,000万円未満の場合は1億6,000万円)
  ②配偶者の取得した財産の課税価格

となります。
 これを見ると、配偶者の取得した財産の課税価格が1億6,000万円未満、もしくは法定相続分以下の場合は、税額が0円になることがよくわかります。

問題の計算
 配偶者の相続税額(軽減時)=1億1,175万円×(3億3,600万円-①2億4,000万円)/4億8,000万円)=2,235万円
  ①課税価格の合計額×法定相続分=2億4,000万円
    (1億6,000万円未満の場合は1億6,000万円)
  ②配偶者の取得した財産の課税価格=3億3,600万円