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○×ゆえの難しさ

 ご存知のように、3級FPの学科試験は、正誤問題30問、3肢択一問題30問の、計60問が出題されます。
 正誤問題というと、○か×かのどちらかしかないのですから、当てずっぽうに答えても50点取れそうです。それに、誤った理由で×と判断しても、「何となく違うぞ」としか分からなくても、正解が×なら正解、つまり100点になってしまうのですから、どうしても「簡単に解ける」というイメージがつきまといます。
 ですが、この○×問題もそう簡単ではありません。3級FPなどのような比較的ストレートな問いなら、全く分からず一か八かで解答しても、正解の確率は確かに50パーセント近くになるでしょう。しかし、難しい問題にしようとすれば、○×問題でも、正答率をとっても低くする嫌らしい問題はいくらでも作れます。
 それに、この形式の場合、他の選択肢を見ながら相対的に選ぶことが出来ないため、それそのものの正確な知識がないと、全く太刀打ちが出来ないという面では、多肢選択式の場合よりも解きにくいです。
 さらに、「どこまでの記述がしてあれば正解だと判断するのか」という、正解肢に対する裁量の問題もあります。
 このように、正誤問題をきちんと正確に解くのは案外難しいです。その理由について以下このページで問題分析をしながら見ていきます。

生命保険商品の商品性の説明

 平成28年-1月3級学科(1)

 保険業法上、生命保険募集人の登録を受けていないファイナンシャル・プランナーが、ライフプランの相談に来た顧客に対し、生命保険商品の商品性を説明することは、禁止されていない。



                                   答え 1(○)

 私が受けた試験の1番がこの問題でした。この「商品性」という言葉の意味がよくわかりません。解答が○になっているので、個別の保険商品の説明という意味ではないんでしょうかね。
 それとも、個別の保険商品の説明をいちいちしていくのは、別に違反ではないのですかね。私はそんなのはダメだ、とこれまで思い込んでいました。間違いだったのかな。
 解答を見ても、どうしてこれが○なのか、今でもよくわかりません。

 過去問で見慣れた単語なら、「この試験ではこの単語はこういうニュアンスで使う」というのが暗黙の了解事項になって正解までたどり着けます。ですが、同じ事柄でも、このように新しい言葉遣いをされると、「その言葉をどう理解すればよいのか」ととまどう場合があります。

補足:
 後になって2級の問題集をしていると、この「商品性」という言葉が試験の一番最初の1問目でよく登場します。
 どうもこの言葉は、「一般的な商品の説明」というような時に使うことが多いようです。FPがやっても大丈夫の選択肢です。

一時所得金額の所得税算入

 平成28年-1月3級学科(16)

 一時所得の金額は、その年中の一時所得に係る総収入金額からその収入を得るために支出した金額の合計額を控除し、その残額から特別控除額(最高50万円)を控除した金額であり、その額に2分の1を乗じた額が総所得金額に算入される。



                                   答え 1(○)

 この問題の前半の説明通り、一時所得の金額は、収入から必要経費を控除し、さらに50万の控除した額です。(1/2した額ではなく)
 そして、実際に課税されるときには、黒字の場合、1/2が他の所得と合算され、総合課税の対象となります。赤字の場合は、損益通算の対象にならないので、他の所得金額からさし引くことはできません(『うかる!』P205)
 ところが、この設問の選択肢の場合は、黒字の場合に当てはまることだけしか言っておらず、赤字の場合の言及がありません。
 そのように考えれば、「本来なら、×を正解にすべきだ」と私などは思うのですが、公表された解答は○です。
 このように、正確な知識があっても、その知識があるゆえに、試験作成者以上に深読みをしてしまって、○とすべき所を誤答と答えてしまう、もしくは、たぶんそんな例外のことは気にしなくていいだろうと判断して、例外のことを知っていながらも正答だと判断して間違ってしまうことが起こります。
 ですから、3級FPの○×式の一問一答というのは、このように出題者の裁量次第で解答が変わってしまうような紛らわしいところが結構あって、私は嫌いです。
 これが多肢選択式なら、他の選択肢と比較して出題者の判断を推量できるので、出題者の裁量を見極めた上で、解答を選ぶことができます。それができない一問一答では、「このような紛らわしい問題を含む設問は出すべきではない」と私は思うのですが、実際にはそのような設問も出題されます。
 いやですねえ。

 あなたはどうお考えになりますか。

 平成27年-9月3級学科(17)

  一時所得の金額は、収入金額からその収入を得るために支出した金額を控除し、さらに特別控除額を控除した後の金額であり、その全額が総所得金額に算入される。



                                   答え 2(×)
 こういう問題が過去に何度も出ています。
 この問題を解いていたとき、私は、「一時所得金額そのものを1/2していないから間違いなのだ」と間違って理解していました。
 そのような目で、上の今回の設問を見ると、「前半部分は何で1/2していないの」と今度は逆に思ってしまいます。
 しかし、よくよくそのつもりで注意して見てみると、参考書では、一時所得の金額を上のマーカー部分のように一度言っておいてから、一時所得を課税対象として損益通算をするときは1/2する、と2段階に分けて説明してあります。(ただしここの部分の考え方の詳しい注意書きはありません。)
 このように、一時所得金額という時には、この設問の前半部分通りに答えるのが正解なようです。1/2をしてはいけません。
 このような間違った理解をしているうえに、それでさらに、追い打ちをかけるように、赤字の場合の記述がないわけですから、上の今回(28年1月)の設問の判断はとっても難しいです。

○×は多肢選択式の基本形式

 ところで、この○×形式を、○×の理由も含めてきちんと答えられるようにすることが、あらゆる多肢選択肢式の問題を解く上での基本形です。
 「理由は分からないけれど何となくおかしい」とか、「そんな気がする」とかいうような理由で正誤を判断していると、選択肢が多くなればなるほど、正解の確率は下がります。
 ですが、他の選択肢は全く分からなくても、いくらもっともらしい選択肢が別に並べられていても、「この選択肢は絶対に正しい。(間違いである)」ということが判断できるなら、一つの選択肢の正誤が分かるだけで、正答を導き出すことが出来るのが、多肢選択式の特徴です。
 一問一答の正誤判断は、他の選択肢を見て考えることが出来ず、与えられた部分だけで正誤を見極めなければならないという厳しさがあります。
 多肢選択式の問題を解くに当たって、一つの選択肢だけが分かって、設問の解答が分かったからそれでよい、というような姿勢ではなくて、間違いの選択肢についても、「この選択肢のどこが間違いで、どう直せば正解肢になるのか」を一肢一肢検討して、一問一答の正誤判断ができるような厳しい過去問演習を普段からしておくと、一肢ごとの正確な知識が積み上がって、とても強力な基礎力を形成できます。
 それができれば、多肢選択式の個数問題になっても、全く迷いは生じないはずです。

 なお、多肢選択式の場合、でたらめに解答を選んでも、理屈の上では3肢択一なら1/3の確率で正解するはずですが、実際には選ぶ選択肢が多い試験・難しい試験ほど、数学の理屈通りにはなりません。確率はもっと低くなります。それは、生分かりの知識を持っているときに、どうしてもその知識を活用して問題を解こうとするために、あやふやな知識に引っ張られて、誤答を選んでしまう確率が高いためです。
 FP3級の試験では、選択肢の作り方が比較的ストレートなので、この傾向はさほど強くはありません。(だから、合格率が高い。)でも、宅建や行政書士の試験など、選択肢形式の比較的難しい問題では、生分かりの人に正答を選ばせないためのいやらしい選択肢が多いので、選択式の問題といえども、生分かりの場合の正答率はとても低いです。
 それが、多肢選択式の正誤問題、つまり○や×の個数を問う問題になってくると、もっと難しくなります。一つでもあやふやな知識があると、正解はおぼつかないです。
 蛇足を言えば、平成27年度の宅建の問題は、この個数問題がかなり増えました。
 よく言われることですが、多肢選択式の過去問演習では、一肢ごとに全部きちんと正誤判断ができるまで、正確な知識を身につけていこうとすることが、時間と労力を効率よく使いながら、このような問題に対しても最大の効果を上げることができる一番の近道です。