家具類
食卓製作
普通の高さのテーブルは落ち着かない
洋式のテーブルが一般家庭には広く使われていますが、私にはどうもなじめませんでした。理屈でどうこういう問題ではなく、座っていてどうも落ち着かないのです。ある時ホームセンターで椅子が一般のものよりもかなり低いテーブルセットに腰掛けてみたとき「これだ」と思いました。
立っていると落ち着かないのに、日本人は座ってしまうと花見の時のようにくつろいで大騒ぎをしたりします。従来のテーブルが落ち着かないのはより立ち位置に近いからで、これが座面が低くなると途端にしっくりくる座席になるのです。
家具のカタログを見ていると、従来のようなテーブルセットの他に、ちょっと低めのテーブルセットなども用意されています。もし私のように「テーブルは落ち着かない」と思っていらっしゃる方がいたら試してみることをおすすめします。
丸太の椅子はちょっとおしゃれ
さて我が家の場合ですが、内装だけは一応本物を使ったウッディー調を目指しているので、既成の見かけだけはよくても張りぼての家具に大枚をはたく気にはなれませんでした。県北の木の産地に行ってテーブルの板になりそうな一枚板を探してくるべきなのですが、やはりあてどもなく探しに行くのには二の足を踏んでしまいました。
そうこうしている時、家具屋の銘木セールにふらふらでかけていき、おばちゃんにそそのかされて、ケヤキの座卓を買ってしまいました。これの天板だけを使い、足だけを考えれば探しに行く苦労をしなくてすむと考えたのです。
それから足をどうするかでまた一騒動でしたが、結局森林組合に足にするのによいケヤキがあるということで、それをカットしてもらいました。これに天板をただ乗せているだけです。
いすは、ある時行ったうどん屋でヒントを得て、丸太を同じく森林組合で加工してもらいました。どこかのお寺の境内にあった桜の木だそうで、長く使っていると、こすれて座る部分がピンクのほどよい色になっています。
いすとテーブルの高さは、参考になったセットを始め、ファーストフードの店のものなどいろいろメジャーを持って測りに行き、いす36.5cm、テーブル64.5cmというところで落ち着きました。特にいすは、背もたれの着いたものが欲しくなったとき、すぐに入れ替えることができるように、既製品の低型タイプのものと高さをほぼそろえています。
ただし、狭い我が家のような家では、内側の方は背もたれがない分、どちらにでもすぐ向くことができ、かえってじゃまにならないので重宝しています。壁際の方は、壁が実質的な背もたれになります。
重さが半端じゃないのは要注意
ただこのセットの難点は、重さがはんぱではないということです。テーブルの脚一つでも男一人では持ち上げることができません。このセットを置いてしばらくした頃、客が主人の貧乏ゆすりにひどく反応し、「地震か」といって飛びのいたくらいですから、床を補強しておかないとだめだったようです。
その後床にもぐってすぐ補強をしたのはいうまでもありません。いらない仕事が一つ増えました。いすを丸太そのままで使うのはあまりに重量のことを考えていなさすぎるとは後になって気づいたことでした。厚い板か、せめて半割の丸太で作るのが、やはりこういう場合の一般的なやり方のようです。
丸太そのものの値段なんて涙が出るほど安い
天板はさすがに製品なので「うっ」というような値段ですが、森林組合に用意してもらった丸太は、一つ一つは数千円にしかなりません。糊で固めた加工品のまがい物がとても高価なご時世なのに、素材の木そのものは「ほんとにそれでいいの」というぐらい安価です。何十年も丹誠込めて育てなければならない木が二束三文にしかならないのですから、本気で林業に取り組もうという人がいなくなってしまうのは当然のことです。
床板一つを取ってみても、節のない糊で貼り固めた合板と、節だらけの本物の木とどちらを皆さんは選ぶでしょうか。今の世の中、節のない合板を選ぶ人がほとんどなのです。
どこかがおかしい日本の世の中です。