オリジナルデザイン

8寸規格墓の文字彫り

なんで「○○家之墓」なんだろう

8寸個人墓みどりケ丘

 墓石を作るにあたって、「個人墓を建てる」に書いたように、叔母はごく普通にお寺さんと関係を保ってきた人間なので、今回はオリジナルデザインのことなど考えないほうがよいのです。常識はずれなことをしてはいけません。
 しかし、やはり何か大きな買い物をするとなると、何らかのこだわりは持ちたいですね。同じお金をかけるのなら、材質だけのことではなくて、内容的にも自分なりに「よいものを作った」と納得したい。
 お墓を作るには、かなりな大金がかかります。「なんでみんな、見本帳の中から、これでお願い。後は任せた」と、いとも簡単にお願いするのでしょうか。私にはその感覚はわかりません。

 そこでこだわったポイントの一つが、竿石の前面に刻む文字です。普通のお墓は、岡山地方ではほとんどすべて、「○○家之墓」です。
 見るからにすぐ「墓だ」とわかるものに、何でわざわざ、「墓」と注記しなければならないのでしょうか。文章を書くときには、「墓石のいし」というように、同じ意味の言葉を重ねて使うと、先生にすぐに添削されてしまいます。墓に「墓」と刻むのは、まさにこれと同じような気持ち悪さを感じます。
 いくらかホームページを見てみたところでは、みんなのように「之墓」と書かない例も、普通にありそうです。
 そこで、竿石の表には、「○○家」とだけ彫ってもらうことにします。ただ墓石屋が言うには、それでは文字の収まりがあまりよくないだろうということで、その上に梵字のア字「ア字」をつけることに同意しました。

表に戒名を刻まない

8寸個人墓みどりケ丘

 本来なら個人墓には、表に戒名を刻むのが普通だろうと思います。墓屋が言うのに、それでは誰の墓かよくわからないので、最近では表は家の名を刻んで、左に戒名や没年を書くことが多いということです。
 もっともだと思ったので、伯母の墓もそうしてもらうことにしました。家の墓の場合は、戒名ばかりが並んでいても、墓地の区画全体がその家の墓ですから、玉垣があれば、そこに「○○家」や家紋が彫ってあると、それでそこがどこの墓かがわかります。しかし、1㎡の墓の場合、隣は違う家のものになりますから、このように家の名前にしておいた方が、分かりやすいかもしれません。

「○○建之」を書く位置

 昔、我が家の墓を作るとき、「○○建之」を書く位置は、「竿石に書くのなどは論外で、台石の向かって左に書くものだ」というように書いてあるのを、何かの本で読んだような気がします。
 理由は今覚えてはいませんが、おそらく「神聖な竿石に建立者の名前を書くのなどは論外」というようなことだったような気もします。理由を聞かされてなるほどと納得したので、我が家の墓石には、台石の左に建立者の名前を彫りました。
 ホームページを検索していると、

角碑型・・・土台石の向かって左側面に刻む。但し、土台石は表面積が狭いので竿石の左側面や裏面に刻む場合もあります。

と書いてあります。やはり、台石に刻むのが正式なようです。
 向かって左に書くのは、墓石においては右が上座、左が下座だからです。だから、個人の戒名などは右側に書いてあるのです。
 確かに、今回の伯母の墓作りにあたっても、8寸の2段墓の台石に建立者の名前を入れようとすると大変でした。下の段で24cm、上の段で20cmしかありません。

8寸個人墓みどりケ丘建立者

 それで墓石屋は下の段に書く予定で下書きを持ってきました。しかも、上下1cmほどしか余白がありません。しかしこれでは、あまりにも文字が地面にくっつきすぎていて、建立者の名前が地面に埋もれてしまいかねない印象を受けます。あまりに建立者の名前がお粗末になってしまうということです。
 ですからどうしても上の台石の20cmに建立者の名前を入れないといけません。でもこれが、墓石屋が書いてきたように「平成二十三年一月吉日○○建之」と入れようとすると、文字が小さくなりすぎてしまいます。
 それでそこらの墓石を眺めてみると「吉日」なんて文字を書いていないお墓が結構あります。もともと「吉日」なんてどんな意味があるのか、思わせぶりなだけの言葉なので、これを省いてみることにしました。建立は1月なので10月以降よりも文字数を節約できます。
 それでどんぴしゃ。あまり文字が小さくなりすぎることもなく、うまく収まりました。
 建立月日と、「○○建之」の下側をそろえるとバランスが悪くなりそうだったので

平成二十三年一月 
 ねこ ふみお建之

名前の方を少しだけ下げてもらいました。

 後から、我が家の墓石を見直してみると、やっぱり同じように刻んでいました。つい先日見に行ったはずなのに、肝心なところは見落としてますね。「吉日」を書かないように、こちらから言ったのか、もともと墓石屋が原稿をこのように書いてきたのか、阪神・淡路大震災の年のことなので、今となっては定かではありません。

家紋の周りを四角く彫り込まない

みどりケ丘正面

 普通は家紋の周りを飾り付きで四角く彫り込んで、そこに白を塗って家紋を浮かび上がらせます。ところが、これは新しいうちはよいのですが、古くなって、塗った白が中途半端にはがれてくるとまことに見苦しくなってしまいます。どこの墓地でも、ちょっと時間がたったお墓を見てみるとこのことがよく分かります。
 それでうちのお墓は、紋の周りに形が分かるように細い彫りを入れてもらうだけにしました。こうしておくと、この彫りに塗った白がはがれても、それほど汚らしい感じはしません。
 右の写真を見ると、彫り方の違いがよく分かります。(写真をクリックして、拡大して比べてみてください)

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