オリジナルデザイン

納得のいく墓を考えよう

Nekoオリジナル墓2

 うちは、「なまぐさなお坊さんにお経をあげてもらってもあまりうれしくないよなあ」ということで、別にキリスト教徒だというわけではありませんが、近所の教会の牧師さんに葬式に来ていただきました。
 その関係で、戒名などはなしです。
 それで墓をどうするかですが、キリスト教徒ではありませんから、キリスト信者のような墓を作る必要はありません。どんな墓がいいのかいろいろ考えました。


自然石はやっぱりやめ

Nekoオリジナル墓2

 最初に考えたのは自然石を使ったお墓でした。何か加工しない石を使ってお墓を作れないかなあと考えていたのです。
 しかし、いろいろ墓石屋を見て回っているときに、自然石のお墓は、神主さんなどが立てることが多いが家が絶えることが多いというような話を聞きました。
 また、お墓にするのに手ごろな石というのは、以前お墓に使われていたことが多いからよくないという話も聞きました。人間の墓だけではなくて、動物のお墓であった例も多いということです。
 なるほど、私たちが手ごろだと思って持ってくるような石は、確かに、以前の人たちも「手ごろだ」と思って、お墓に使っていても不思議ではないわけです。それで自然石のお墓はやめにしました。(写真は記事とは関係ありません。近所にあった自然石のお墓の一例です)

個人の趣味を反映したお墓

 囲碁が好きだった人のお墓に、碁盤、音楽が好きだった人のお墓にピアノをデザインするような例です。それが好きだった故人だけを祭るのならよいかもしれません。しかし、このようなお墓を作りながら、それを先祖墓とする例が多いのではないでしょうか。子孫が必ずしも同じ趣味を持つわけではありませんから、これも考え物でしょう。

シンプルイズザベスト

Nekoオリジナル墓1

 とにかくあちこちお墓を見て回りました。凝ったものというのはどうもデザインがごてごてしていてよくありません。座布団などいりませんし、供物台のせりあがった飾りもうざいだけです。
 洋風のお墓は、横に広い分どっしりして見えます。しかし、大きい墓石を必要とする分、日本ではあまり使われなかった、外国産のけばけばしい石を使うことがほとんどです。
 それに、デザイン的にも、われわれが普段慣れ親しんできたお墓のイメージからいくとどうもしっくりとこちらの肌になじんできません。
 そんなことを考えているときに見つけたのが斉藤茂吉の墓でした。細長い長方形の2重台の上にお菓子箱を立てたような竿石が乗っています。花立は下の台に直接穴を開けて造っています。
 石の側面は、はつって自然石風に仕上げてあります。
 これは、最近のお墓にはない、とてもシンプルなデザインながら、結構魅力的なデザインではないでしょうか。このようなデザインに魅力を感じるのは、個人の好みが大きくものをいっているかもしれません。
 この斉藤茂吉の墓をヒントに、うちの墓を作ることにしました。側面は、自然石でないものをわざとらしく自然石風にする必要はないので磨き加工をしてあります。台の大きさを考えるときに参考にしたのは、近くの結構大きな洋墓の下台の寸法です。その上に竿石、正面尺一、側面九寸にしてあります。
 花立は、今は角型が多いですが、昔のものは圧倒的に丸型です。そのほうが懐かしい感じがしていいので、丸型にしてあります。
 玉垣は、これもごてごてしい線などの飾りはないほうがすっきししているので、面取り加工だけにしてあります。
 写真の水鉢の前においた小さい石は、特に意味はありません。ダンボールで実物大の模型を作ってみたときに、これぐらいのものを置いておかないと、正面が間抜けな感じになってしまうので、急遽置いてもらいました。供物台とも、線香置きとも考えることができるでしょう。
 また、一番下の台は、一般の三重台の墓は、一枚石ではなく、4枚の石を組み合わせて大きく見せることが多いです。1枚石にしようとすると、かなり大きな石が必要になってくるからです。
 しかし、ちょっと見の見かけを立派にするためにこのようにしても、実質がともないません。それにうちは二重台にしかしませんから、どうしてもここは一枚石で作りたいところです。

戒名版は、個別に

 今日普通に作られている戒名版は、一枚板です。ですがこれはあまり風情がありません。
 それに経済的な面からいっても、一人だけの名前を新たに刻むためにも、大きな戒名版をいちいちはずして持って帰らなければなりません。
 それに比べ、一人一本の戒名を刻む板を作る場合、石代は確かに少し高くなるかもしれませんが、文字を刻むには、その一本だけを持ち帰るだけですむので、文字を刻む手間はそれほどかかりません。そこで、結果的にどちらにしてもそれほど経済的な負担は違いません。
 それなら、いっそのこと、一人一本の戒名を刻む棒を作っていくほうが、先祖墓に遺骨を納めて、戒名板を個人の墓石代わりとも見なせるので、そのほうがよいのではと思いました。
 墓石屋が思った以上に立派な戒名板を作ってくれたので、出来上がりにはとても満足しています。
 うちは無宗教の墓なので、戒名版とはいうものの表は俗名、裏は生年月日と没年を記載しています。

墓石に刻む文字、玉垣の家紋

 墓石に刻む文字については、「8寸規格墓の文字彫り」に書いたのと同じ考えです。こちらは先祖墓なので、「ねこ家累代」としてあります。「○○建之」の文字は上台の向かって左面に書いてあります。
 「平成七年十一月」で、「吉日」の文字はありません。
 玉垣につける家紋についても、「8寸規格墓の文字彫り」に書きました。
 四角い彫りを作ってそれを白く塗り、その中に浮き上がらせるのが普通です。しかし、このページの一番上の写真の他の墓を見てもらうと分かるように、ちょっと時がたって彫った部分に塗った白い塗料が中途半端にはがれると、まことに汚くなります。そこで、私の家のは、四角い彫り込みをやめて、家紋の形を浮き上がらせるために、紋の周りに細い線を彫るにとどめました。
 また、玉垣に家紋を入れ、更に墓にも家紋を入れる普通のやり方だと、ごてごてしていていかにもなので、うちは玉垣だけに家紋を入れてあります。

物置石は置かない

 「物置石くらいはサービスでつける」といっていただいたのですが、うちは置きませんでした。墓地をいろいろ見て回っていると、建立後十年以上になるところでは、この物置石が酸化して非常に汚くなっているものがたくさんあります。
 「せっかくただで置いていただけるものを」と欲な気持ちは感じつつ、「いらないものは置くまい」と、あえてお断りしました。

実力ある石材店が頼み

 私の家の墓は、墓がある赤磐市千光寺霊園を管理している瀬戸内石材に依頼しました。
 この石材店は、一般的な墓石を作ろうとする場合、決して安いとは言えません。今一般的によく使われる中国産の石を使いたがらないので、もともとの材料費が安くはありません。それに、一般的な規格型の墓を作るとするなら、同じ国産材を使っても、大手石材店の値段とさほど変わらないでしょう。
 しかし、上のような企画からのちょっとした逸脱を考えようとするとちょっと事情が変わってきます。このような中小の石材店では、規格型であろうと、オリジナルであろうと、注文を受けてから、それにあわせて墓石を刻んでいきます。ですから、オリジナルであるからといって、費用が割り増しになるわけではありません。「規格型」も、それを示さなければ、普通の人が迷うからそれを示しているだけで、規格を示すことでこれらの店が有利になるということはありません。
 ところが大手石材店の場合、同型のものを大量生産することでコストを下げているので、ちょっと規格と違うことを依頼しようとすると、とたんに値段が高くなってきます。
 それに量販店では、中国産の安い石を標準仕様として示すことで割安感を演出している場合もあります。(ちなみに、我が家の墓石は、国産材としては比較的安い青木石です。)
 ですから、我々としては、「どこに依頼するのが本当にいいのか」、安さの見かけにごまかされず、よくよく見きわめていかなければなりません。
 その点では、私の依頼した瀬戸内石材は、他店が嫌がるような難しい加工でも、嫌がらずにきちんと対応してくれ、そういう加工の費用もそれほど高くはありません。信頼できる石材店のひとつではないかと私は考えています。
 大手石材店・仏具店の紐付きの墓地ではない場合は、このような技術力のある中小石材店に依頼するのがいいのではないでしょうか。

吉相墓の観点から考えると

 ここのホームページのような吉相墓の観点から考えると、現代作られている先祖墓はすべてだめだということになります。
 私の場合、欲どおしく墓地の正面に大きな先祖墓を作ってしまいました。しかし、考えてみると、昔のお墓は結構小さな夫婦墓が多いです。ですから、何も大きなお墓にこだわる必要はなかったのだと思います。
 一つ一つは小さなものにして、ここのページが勧めるような墓を作るというのも、やはり考え方のひとつではないでしょうか。

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