車検場では

車検場では

まずは受け付け窓口へ

 当日、ユーザー車検の受付窓口に行って、受付番号をいうと、どうすればよいか指示してくれます。もらえる書類と、買わなければいけない書類があるので、指示された窓口に行き、ocr用紙などと、重量税・検査代金の収入印紙を購入します。記入見本があるのでそれを見て、必要事項を記入し、窓口で点検してもらいます。

車検ラインでの検査

 用紙がOKとなると、それを持って検査ラインに並びます。検査ラインでは、

  1. ウインカー・クラクション・ブレーキランプなどの灯火装置、ワイパーの検査。このときボンネットを開けて、車体番号の確認もします。ちなみにデリカスターワゴンや軽トラは、運転席の座席下にカーペットがめくれるところがあり、そこに車体番号のプレートがあります。多くの普通車やデリカD5などは、ボンネットを開けたときの運転席前。(検査官の方がよく知っています。)
  2. 上と同時に、ディーゼル車の黒煙の測定をします。車の製造された時期によって、規定値が決まっており、それ以下でないと不合格になります。ガソリン車の排ガスはテスター屋などでちょっと調整すればどうにかなることが多いですが、ディーゼルの黒煙の場合はそう簡単にはいかないことが多いようです。
  3. 直進安定性(サイドスリップ)の検査。黄色い線を踏みながら、白線の内側に沿ってブレーキテスターに向かってまっすぐ車を進めるだけです。知らない間に終わります。
  4. ブレーキテスター。テスターのローラーに正確に乗せて、車を止めます。エンジンはかけたままで、掲示板の指示に従って、ブレーキを踏んだり離したり、サイドブレーキを引いたりします。思いっきりよく踏んづけます。
  5. スピードメーターテスター。ギヤを入れアクセルを踏んで、スピードメーターが40Kmを指すところで、パッシングをしたり、ボタンを押したり指定の方法で知らせます。
  6. ヘッドライトテスター。指示に従い、ヘッドライトを点灯・消灯させます。
     従来はハイビームで検査を行ってきましたが、平成27(2015)年9月1日以降、車検時等のヘッドライトの検査基準が変更になり、平成10(1998)年9月1日以降に製作された自動車はロービームで検査することになりました。対向車などがまぶしくないように、上方に照射した光をカットするカットオフラインに、水平から左斜め上方に立ち上がる点があるか否かなどを検査するようです。
     純正のハロゲンからHIDやLEDに取り換えているような場合、私が付けている中華製のHIDのように、カットオフラインがはっきりしていない製品も多いはずなので、従来の検査なら合格していたものでも、新基準では不合格になるケースも出ています。
     ただ、令和2(2020)年、ハイゼットで車検を受けた際には、予想通りロービームでは、左右とも×になったものの、ハイビームに切り替えるように促され、ハイビーム検査の結果、かろうじて合格になりました。
     『軽自動車検査協会における平成10(1998)年9月1日以降製作車の前照灯試験の取扱いについて~本検査場・出張検査場への持ち込み検査の場合』によると、カットオフ等の判断が不可能な場合、走行用前照灯(ハイビーム)を検査して、基準に適合するなら合格になるようです。
     その基準は、

    【判定困難に該当するもの】
    ・適切に光度を測定できない場合・明確なカットオフ及びエルボー点を有しておらず、かつ、すれ違い用前照灯試験機での判定が困難な場合
    ・自動車の製作年月日が自動車検査証等で判断できない場合にあっては、自動車検査証の型式欄に記載されている自動車排出ガス規制の識別記号が2桁以降(平成10年規制、平成10年アイドリング規制GD、GF等)のものを対象車両とする。

     ただしこれは、新検査基準が軌道に乗るまでの暫定的な措置なのかもしれません。
     2024年、ハイビームで検査する暫定的な措置はなくなりました。
     光量不足で不合格になった場合は、アクセルを踏んでエンジンの回転数を上げてもう一度やるとよいそうです。終わったら、検査結果を記録します。

  7. 排気ガステスター。ディーゼル車はここでは測定しません。プローブといわれる測定用の棒を、マフラーに自分で差し込みます。あまり深く差し込まず、10〜15cmほど差し込むのがよいそうです。終わったら、検査結果を記録します。
  8. 下回り検査。車を所定の位置に止め、指示に従ってエンジンを切り、ブレーキペダルを軽く数回踏んだり、サイドブレーキを引いたり、ハンドルを左右に切ったりします。下からこんこんたたく音が聞こえますが、じっと待っています。
  9. 以上で検査終了です。検査結果を記録し、総合判定窓口に行って合格の押印を押してもらいます。

    もしかすると特別には総合判定窓口のような所のない陸運局もあるかもしれませんが、そのようなところでは、最後に検査する検査員の方が印を押してくれるはずです。

 以上書いたところ以外にも検査機械によって記録する場所がある場合もあるかもしれませんが、その場合は指示に従います。ユーザー車検の場合、マルチテスターといって、一つところでいろいろな項目を同時に測れる機械のところに行くように指示されることが多いようです。指示されない場合でも、マルチテスターの方が、早くて簡単です。測定項目は当然同じです。受付で書類を見てもらうときに、どのラインにならべばよいか聞きましょう。
 ただし、岡山では以前は1に並べと言われていましたが、平成27年に検査場の場所が変わって、全部の機械が新しくなったためか、ユーザー車検だからといってどこに並べとは言われなくなりました。
 岡山の軽自動車検査協会では、一番左側のラインがいいです。
 また、陸運局によって検査項目の並び順には異同があるようです。上に書いた順番にどこでも検査されるわけではありません。

初めてだと言った方が親切に対応してもらえる

 私がユーザー車検を始めた平成の初め頃とは違って、今は、ユーザー車検に対する対応がとても親切になっています。
 「初めてですか」と聞いてくれることも多いので、下手に「いいや」というよりも、素直に「初めてです」と答えた方が、装置を回る間丁寧につきっきりで対応してくれるので、どうすればよいか戸惑うことが少なくなって、結果的にそのほうが良かったということがあります。
 ユーザー車検のベテランであっても、車検は2年毎ですから、色々と忘れています。結果的に、「初めてです」と答えておいた方が、やりやすいことも多いような気がします。
 

検査標章をもらおう

 検査に受かったら、これまで貼ってある検査標章をはがして、もらった検査標章を、運転席の右上に貼ります。(従前は、運転席の中央でした。)
 シールはがしには、ワイエステック ノリクリンS 100ml ハケ缶という製品しか使ったことがないので、他の製品との比較はできませんが、これかなり強力です。困難な車検標章はがしも、これを使えば全く苦になりません。

不合格でも判定印をもらう

 たとえ部分的に不合格の項目があっても、最後のところで検査官から必ず総合判定印をもらうようにします。岡山の検査場は平成27年度から場所が変わってリニューアルしたおかげで、検査場は広くなるし、人は少ないしで、どこでどうすればよいのか慣れないものにはさっぱりわかりません。
 平成28年度に、ブレーキで不合格になった際、印字だけして判定員がいなかったのでそのまま帰ったら、どうも判定印を押してもらわなければならなかったようです。
 そういえば、姫路も結構広くて人がいなくて、以前どこで何をすればよいか全くわからなかった経験がありました。この時も、最後のところで人が居ずに、そのまま出てしまって、ダメだったことがありました。合理化といっても、人を減らしすぎです。
 もっとも、ユーザー車検に対しては、これでも以前よりはだいぶ親切にする傾向にはだんだんなってきています。 

もし不合格だったら  その日の内なら検査代はいらない

 不合格だった場合は、整備をし直してもう一度その項目だけを検査します。当日ならば、3回まで再検査代は不要です。多くの場合、不合格になりそうなのは、光軸と排ガスだと思います。自分で調整するか、車検場の近くにはテスター屋さんがあるので、そこで調整してもらいます。これらの費用はそれほどたいしたことはありません。
 とはいえ、ちょっと調整するだけでも、車屋に対してとは違って、やっぱりユーザー車検の一見さんには、ずいぶんと高い請求をされます。
 なおディゼルの黒煙については、ディーゼル車の黒煙を参考にしてください。
 これについてはテスター屋でちょっと調整できるという類のものではありません。日頃お世話になっている車屋さんに相談してみましょう。

後日再受験する場合

 当日中に再受験できないときは、「限定自動車検査証」を発行してもらうのだそうです。そのためには、検査を受けた用紙をもう一度受付に持って行って、交付を受けなければなりません。
 これまで20年近く、不合格になることはあっても、検査の最終窓口で、その日のうちに再検査できないときは、そんなことをしなければならないというのを聞いたことがなかったので、知りませんでした。
 大体その日の内に再受験をして車検が済んでいましたし。
 不合格になった検査用紙をそのまま持って行って、再受験の申請をするのだとばかり思っていました。ところがそうではないんですね。
 ただし、限定自動車検査証は、見た目は車検証と似ていても、有効期間は検査日より15日です。ですからこの限定自動車検査証を発行してもらうと、車検期間が15日以上残っていても、有効期限が短くなってしまうようです。その代わり、期限内であれば、これがあれば、次の再検査は予約なしで、再検査代が1,700円(軽自動車1,600円)になります。

 令和3年10月1日以降、技術情報管理手数料400円が追加されたそうです。
 これは、「自動車メーカーが提供する故障診断に必要な情報管理、全国の検査場(車検場)や整備工場が利用する情報システムを運用していくための費用」だそうですが、要するに、手数料の実質値上げです。

 このように、車検の有効期限が長い場合には、限定自動車検査証の発行には、メリットとともにデメリットもあるので、発行してもらうかどうか、その期限内に修理ができるかどうかで判断した方が良い場合もあります。
 逆に、車検の有効期限を過ぎた場合は、限定自動車検査証があっても運航することはできません。車検場に車を持っていくためには、仮ナンバーの申請が必要です。しかし、限定自動車検査証の有効期限内であるならば、再検査の時、不合格箇所の受験だけで良いといった特典は享受できるようです。

サイドスリップの再検査

 サイドスリップがダメで再検査になってしまいました。
 再検査にいって、最初のところで「ピットで止まって、サイドスリップの検査だと言って」と言われます。
 訳が分からないまま、指さされた方向の最終検査の確認所で言うのだろうと思っていると、「ピット」というのは、下回り検査をする穴のことなのですね。
 この穴のところでも、一応止まっていたのに、誰からも何も言われず、サイドスリップの検査のボタンのところでボタンを押して通ったのに、「記録がない」と言われます。
 どうもサイドスリップの検査をするには、タイヤのロックナットの点検を前もってしておかなければならず、それをピットのところでするようです。
 言われたことが分からないこちらにも多少の非はあるのかもしれませんが、このピットのところで、音沙汰なくて、「記録がない。もう一度やり直して」と言われるのはどうも腑に落ちません。

検査は車がライン途中にいても休憩時間は止まる

 検査場での一般的な注意事項としては、休憩時間が来ると、車がラインの途中にいても休憩します。途中休憩はたいしたことありませんが、昼休みは長いので、この時間にかからないように気をつけましょう。

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