車のDIY
まず資料を用意しよう
何事に於いてもそうですが、知っていること、以前やったことがあることについては、比較的気軽に取りかかることができますが、そうでないことをやろうとすると不安でなかなか取りかかることができません。
それに、同じことをやろうとしても、それについての情報を事前に手に入れていれば、いらぬ苦労や失敗をしなくて済むことが多いです。
それで、ここでは、車いじりに取りかかる上で、どんな作業についてもほぼ共通する、情報の集め方について書いてみることにします。
(一般的な話より、具体的な情報の収集方法について手っ取り早く知りたい方はリンクに飛んでください。)
最初の取りかかり
私の車いじりは、職場の同僚に、オーディオを取り付けてもらうことから始まりました。手に入れてもらったカセットデッキを、取り付けてもらうとき、そばで一緒に見ていたのです。それで、「カセットデッキの取り付けというのは、こうやってやるのか」というのが、何となく空気として感じられたので、自分で同じ様なことならやってみて出来るような気がして、だんだん工作が出来るようになってきたというわけです。
「カセットデッキ」などとは、何か古めかしい響きですね。
私は大工さんに何か頼む場合でも、車屋さんでも、作業をしてもらうときには、なるべく隣にいて作業を見るようにしています。そうすれば、その作業がどういう作業か分かるようになるので、自分で出来そうな作業か、そうでないかの見極めも出来るようになるし、今度自分でする場合の参考にもなるからです。
それに、身近で見ていればちょっとしたことで、疑問に思ったことや要望があるような場合でも、その場で聞いたり、修正したりすることが出来ます。
車いじりについても、全くそのような経験が無いような方は、最初の取りかかりとして、「他人の作業を見る」ということをどこかでやっておくと、作業の雰囲気というのを肌で感じることが出来るので、それが貴重な第一歩になると思います。
資料集めの第一歩
最初の取りかかりであり、最終的にも頼りにしていくのがインターネットです。
インターネットの普及によって、これまででは出来にくかったことが、割合やりやすくなってきました。たとえば、ハイゼットのスピードメーターを、タコメーター付きの他車種のものに交換するなど、身近にそういうことに詳しい人がいなければ、以前なら思いもつかなかったようなことではないでしょうか。
それが、インターネットを見ている内に、そんなことが出来ることを知り、それならやってみようかと思って実際にやってみたのが、このホームページの「メーター交換(ハイゼット)」の記事です。私のこのページを見れば、ちょっと車いじりをしたことがある人なら、このようなマニアックなことでも、割合手軽に出来てしまうのが今の時代です。
インターネットには、手軽なことからディープな世界まで、様々なレベルの情報が散らばっていますから、自分が気になった事柄についてインターネットで情報を集めていくと、かなり詳しい具体的な方法を検索することができます。
インターネットは情報集めの最後の手段でもある
インターネットは、資料集めの第一歩になると同時に、情報収集の最後の切り札でもあります。以前なら人に聞くか、それでも分からなければ、最終的には専門書に頼るしか方法がありませんでした。パソコンなどでも、たった一つの情報を求めて、専門書が並べてある本屋に走って、雑誌やら専門書やら片っ端からページを開いていったものです。
それでやっと、ある一冊にだけ数行の解答を見つけて、問題が解決したことも度々ありました。
しかし、ちょっとものを詳しく知るようになると、自分が分からないようなことは、そこらにある専門書程度では触れられていないことが結構あります。
ところがインターネットの時代になって、このようなかなり限定的な詳しい情報でも、検索してみれば意外と解決します。世の中には本当に詳しい人が居て、そのような方の情報に簡単にアクセスすることができるようになったからです。
我々が遭遇する問題の多くは、どのような場合でも、どのような機種でも起こる一般的な事柄ではなくて、ある特定の機種、ある特定の組み合わせ、ある特定の状況で起きる限定的なものです。
このような少数派の状況でも、世の中全体には、やはり同じように経験して、その問題を解決できた少数の賢い人たちがよっぽどのことでない限りたいてい存在します。
そのような情報を見つけ出すことが出来るのですから、インターネットというのは本当にありがたい存在です。
ただし当然のことながら、インターネットの情報というのは玉石混淆です。ありがたい情報もあれば、とんでもないまことしやかな嘘の情報もたくさんあります。そのあたりの見極めが出来るようにならなければ、インターネットに踊らされてしまいます。
マニュアルなどをインターネットで手に入れる
一般的なことを書いても、あまり参考にはならないでしょうから、ここからはピンポイントで具体的な情報集めについて書いていきます。
オーディオやその他の製品を中古で手に入れた場合や、説明書を無くした場合など、説明書や配線資料が欲しい場合があります。
このような場合、最近の製品なら、たいていの場合メーカーのホームページに説明書や付属プログラムなどがアップロードしてあります。
必要な資料をダウンロードして、印刷し、手元に持っておくと良いでしょう。
メーカーのサービスは意外と親切
上述のように、最近の資料はインターネットで手に入りますが、まだインターネットが普及する前に、古い手持ちのオーディオを他の車に付け替えようとして、メーカーに問い合わせて、配線の資料をFAXしてもらったことがあります。
パジェロにナビを取り付けた際にも、車の方の資料を、三菱本社からFAXしてもらったことがあります
こちらが思うよりも、メーカーは親切に対応してくれる場合も多いので、まずは気軽に相談してみると良いと思います。
もっとも「富士通テン」に車速パルスの詳細について聞いたときには、「他社のパルス発生装置については分かりません。とにかく車速パルスは付けてください」というような通り一遍の対応でした。が、まあそれは、メーカーですから、自社の製品以外のことについては答えたがらないのもやむを得ないでしょう。(このやりとりの詳細はこちら)
ディーラーをうまく利用しよう
自分が車を購入した店だけでなく、ディーラーをうまく利用しましょう。
ディーラーは、車の販売だけでなく、持ち込まれれば、一見の客でも、お得意とそれほど分け隔てすることなく、自社の取り扱い製品の面倒を見てくれる・見ざるを得ない性格を持っています。
ですから、自分の車について何か詳しい情報を得たければ、まずディーラーに行って聞くのが手っ取り早く賢い方法です。
たとえば、オーディオやナビなどを取り付けようとすれば、ナビ本体を取り付けることが出来るところまで、パネル類を外さなければなりません。このようなところは、車種毎にやり方が違いますし、うまくやれるこつなども聞くことが出来ます。
私なら、自分がさわったことのない車種を分解しようとするときには、前もってそれに関連する情報をディーラーに行ってなるべく詳しく聞くようにします。そうしておけば、いらぬ苦労や失敗をせずに済む確率が高くなるからです。
さすがに、「どうやってオーディオを付けるのか」といったような漠然とした質問をすれば、まともに取り合ってはくれないかもしれません。しかし、こちらがポイントを絞って、「パネルの外し方は」というような質問をする限り、誠実に対応してくれる場合がほとんどです。
ディーラーは、車種毎のサービスマニュアルをすべて持っていますから、必要ならマニュアルの関連資料をコピーしてくれることもあります。
実際に色々聞きに行ってみて、たいていの場合マニュアルの必要な部分をコピーしてもらえるので、サービスマニュアルを自分で購入して用意する必要はほとんど無いと思います。
たとえば、ハイゼットのスピードメーターを、ムーブのものに交換するような場合、メーターの配線を読み取って自分で解析していくことも、上級者になれば出来るのかもしれません。でも私はそこまではできません。
ダイハツに行って、ハイゼットとムーブのメーター入力の配線図をコピーしてもらえたので、なんとかできたことです。
間欠ワイパーの取り付けにしても、オートライトの取り付けにしても、ワイパーや、ライト関連の配線図を手に入れることが出来たからこそ、それほどの苦労もなく、きちんと作業することが出来ました。
スピードメーターの配線図など、かなり大量になるので、もしかしたらいやな顔をするサービスマンもいるかもしれません。「嫌だろうな」とは私も想像します。でも、私に対応してくれたサービスマンは、嫌な顔一つせず丁寧に対応してくれました。そのお陰で、このホームページに書いたような改造が出来たようなものです。
ダイハツだけでなく、日産、三菱、ホンダのサービスの方にも、色々お世話になりました。ありがたいことです。
2023年現在、私がヤリスを買ったトヨタのディーラーでは、マニュアルは全てコンピュータからの出力になって、お客にマニュアルをコピーするサービスはやめたと店長が言っていました。
いずれこういう世知辛い流れに、どこのディーラーもなっていくのかもしれません。
質問するときには、ポイントを押さえて
お任せの修理を依頼するなら、「なんかおかしい」と言っても、できるだけ分かる情報を伝えておけばうまく故障箇所を探して修理してくれます。それが車屋の仕事です。
でも、問い合わせをする場合には、そんな質問をしていてはいやがられます。おそらく、まともに取り合ってはくれません。車屋さんが問い合わせに答えてくれるのは、車屋さんのサービスだからです。
「どうやってオーディオを取り付けるの」といった漠然とした質問をする相手に、一からまじめに答えてくれるほど、車屋さんはお人好しでも暇でもありません。
「どうやってパネルを外せばよいのか」「車速はどこのコードから取ることができるのか」といったように、具体的にポイントを押さえた質問をするから、整備士さんも、わざわざ忙しいところを時間を取って教えてくれるのです。
また、当然のことながら、ディーラーでは取り扱い車種についての情報はもらえても、サードパーティー製の製品の取り付けについて聞いてみても、そのようなことを聞くのはお門違いですから、答えてくれることはありません。
ディーラー、製品のメーカー、それぞれに守備範囲が当然あります。それを逸脱するような質問には答えてくれはしません。
何をどう聞くべきかよく考えてから質問しましょう。
ディーラーならではの蓄積がある
ディーラーは、一般のモータース屋とは違って、主に自社取り扱いの車種を修理しています。
ですから、よく壊れる箇所やその修理方法など、ディーラーならではの蓄積がある場合があります。
パジェロの後ろのドアが全く開かなくなったことがあります。このとき三菱に持っていくと、後ろからとんとんと叩くだけで、それまでどうやっても開かなかったドアを開けてしまいました。
ディーラーはこのような蓄積を持っていることもあるので、そこで修理するかどうかはひとまず置いておいて、まず見立てをしてもらうと有効な場合は結構あります。
車種毎に、オーディオの取り付け時の注意ポイントを聞けたりするのもディーラーならではでしょう。
でも、 だからといって、「ディーラーで修理をしてもらうのがすべて良い」とも私は決して言いません
逆に、ハイゼットのワイパーの例のように、ディーラーで数万円の修理費がかかると言われたものが、他ではすぐに無料で直ったりというケースもないわけではありません。
修理・整備の内容と請求される料金とを天秤に掛けて、よりふさわしいところに情報を聞きに行ったり、修理を依頼したりする柔軟さが求められます。