ボイラーの構造
ボイラーの種類
これまで縁もゆかりもなく、ボイラーのことなど全く知らなかった者が、いきなり『最短合格2級ボイラー技師試験「技術科目」 目で見て、読んで「わかりやすい」』などを読んでも、「ボイラーとはどのようなものなのか」さっぱりわかりません。
2級ボイラー技師の試験に受かるには、「わけがわからなくても、過去問を6回分ほどやっておけばそれだけで受かる」などとインターネットなどでは書かれているので、上掲書などを、テストの選択肢になりそうなポイント部分だけを斜めに読んでみますが、それでもなんとか過去問を少しは解けるようになった気がするとはいえ、説明が多すぎ、やはり全くイメージがわかないでめくらめっぽうなので、ストレスが溜まって、かなりつらいです。
そこで「テスト問題に慣れるなら」ということで、テスト形式の例題を要領よくまとめてありそうな『二級ボイラー技士試験』という本をまた性懲りもなく買ってきました。
これを、また訳が分からないなりに最後まで読んで、少しは試験に出そうなところが分かりかけてはきましたが、まだボイラーというもののイメージは全く持てないでいました。
でも、今急にやっと目が開かれたような気がします。
丸ボイラーの構造
一番単純なボイラーは、ガス火に掛けたやかんを思い浮かべれば手っ取り早いです。下から火であぶってやかんの中の水を温め、出来上がった湯や水蒸気を使います。
これが丸ボイラーの一番原始的な形です。
でもこれだけでは、ためた水を下からあぶっているだけなので、エネルギー効率があまりいいとはいえません。
そこで、もう少しエネルギー効率を上げる工夫をします。
その一つが、下から水を温める時、エネルギーを大量に含んだ煙が無駄に上がるだけになっているので、それを集めて、ためた水の中を通しながら捨ててやることで、ただ下から温めるだけの時よりも、エネルギーを含んだ煙の熱が水に伝わる面積が増えることになる分、水が温まりやすいという工夫です。
これが普通の丸ボイラーに煙管をプラスした煙管[えんかん]ボイラーです。
エネルギー効率を上げる工夫の二番目が、水を下からあぶるのではなくて、燃えている下にも水を回してやれば、水が燃焼室に接する面積が広がるので、早く暖まるというものです。つまり、やかんを横から筒状にへこませて、下からあぶらずに、その大きなへこみ部分の中からバーナーで暖めるようなイメージです。
こうすれば、火室(これを、炉筒[ろとう]という)の上だけではなく底部など周囲にも水に接する面ができるので、加熱部に水が接する面積が増える分水が早く沸きます。
これが炉筒ボイラーです。
そして、この煙管と炉筒の二つを組み合わせたものが、炉筒煙管[ろとうえんかん]ボイラーです。
火室(炉筒)の周りに水を配置して火室の壁面全部を利用して水を温めると同時に、水の中に管を巡らせて、排気を通し、水がその温かさに触れる面積をさらに増やしてやることで効率を高めています。
炉筒部分には、圧縮応力を伸縮することで吸収するための波形炉筒、煙管には、伝熱効果の高い螺旋状の溝を設けたスパイラル管を採用したものが多くあります。
丸ボイラーの特徴
上のような丸ボイラーの特徴は、改良型の炉筒煙管ボイラーなども含めて、大量の水を溜めて温めているので、次に見る水管ボイラーなどとは違い、貯めた水が温まり、蒸気が使えるようになるまでに、かなり時間がかかるということです。
そして壊れた場合には、そのためた大量の湯が噴き出すことになるので、被害は大きいです。
しかし、比熱が大きい水が大量であるということは、温まりにくいけれども、一度温まってしまえば、負荷が変動しても、圧力は変動しにくいという利点にもなります。
ただし、この使用水量が多いというのは、同じ容量のボイラー同士を比較した場合の説明です。小型の煙管ボイラーと大型の貫流ボイラーとを比較して、それでも丸ボイラーの方が使用水量が多くより危険であるというのではないため、注意が必要です。
このような特徴を持った丸ボイラーでは、大型のボイラーは作りにくいということです。
水管ボイラーの構造
丸ボイラーのように水を大量にため込まないで、多数の水管を用意し、その中に通った水を温めて使おうというのが水管[すいかん]ボイラーです。
一般的な水管ボイラーは、ボイラー下に水ドラム、上部に蒸気ドラムを配置し、水を加熱するための管(上昇管)をその間に通します。この管の中で温められた蒸気や湯が蒸気ドラムに上って使用に回されて、その内あまり温められていなかった使われていない湯が、下降管を通ってもう一度水ドラムに戻され、再使用されます。
この水循環を特別な装置なしで水の密度差だけで行うのが自然循環式ですが、圧力が高くなると、水の密度差は少なくなるので、上昇と下降による自然循環力が弱くなります。
そこで循環経路中にポンプを設けて、強制的に水を循環させるようにしたのが、強制循環式水管ボイラーということになります。
さらに、水管式ボイラーには、上のような水循環をしないで、給水された水を全部温めて、行きっぱなしで使用しきってしまう貫流[かんりゅう]ボイラーがあります。このボイラーになると、蒸気や水をため込むタンクが一切無いため、他の水管ボイラーなどよりももっと保有水量が少なくなります。
これは、エコノマイザで予熱された給水が、加熱されて蒸気となって取り出されると同時に、残った水も、残部蒸発部、過熱器などに回されて再加熱され、蒸気として取り出される構造です。
循環式水管ボイラー・貫流ボイラーの特徴
水管ボイラーは、丸ボイラーに比べ、同じ蒸気量を取り出すためなら、保有水量が少なくてすむため、起動から所用蒸気を取り出す時間が短くなります。
その反面、負荷変動による水位変動は大きいです。
そのため、給水・ボイラー粋の処理には注意が必要で、特に高圧ボイラーでは厳密な水管理をしなければなりません。
この水管ボイラーの特徴は、水管ボイラーの中でも貫流ボイラーになると循環式ボイラーなどよりももっと顕著になります。貫流ボイラーは、循環式の水管ボイラーに比べ、同じ蒸気量を取り出すための保有水量はもっと少なくなるため、水の管理が重要です。
細い管内で給水のほとんどが蒸発するので、十分な処理を行った給水をすると同時に、負荷変動によって圧力変動が生じやすいので、応答の速い給水量及び燃料量の自動制御装置が必要です。
それでないとすぐにボイラーの空だき状態になってしまい、とても危険だからです。
貫流ボイラーは、管系統だけから構成され、蒸気ドラムや給水ドラムを必要としないので、高圧ボイラーに適しています。
特に臨界圧力を超えるボイラーにおいては、すべて貫流式が採用されています。
鋳鉄製ボイラー
ボイラーの原理的には丸ボイラーと似たようなものだというような気がします。ただ、鋼製ボイラーと違い、鋳鉄[ちゅうてつ]で出来ているので、腐食に強い反面、強度が弱く、熱の不同膨張に対しても弱いという特徴があります。
鋳鉄製ボイラーは、暖房の低圧蒸気発生用、または、温水ボイラーとして使われます。
温水ボイラー | 0.5MPaまで | 120℃以下 |
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蒸気ボイラー | 0.1MPaまで |
鋳鉄製ボイラーは、鋳鉄製のセクションを並べて、それをニップルでつなぎ、締め付けボルトで動かないようにして組み立てるため、組み立てが容易で、セクションの増減によって能力を大きくしたり、小さくしたりすることができます。このため、別名、セクショナルボイラーとも呼ばれるそうです。
鋳鉄製ボイラーを、暖房用の蒸気ボイラーとして使用する場合、放熱器(ラジエータ)で蒸気が冷やされて水(復水)になります。この水をボイラーに戻す役割をするのが、返り管です。
低水位事故を防ぐため、この返り管に給水を接続したものを、少なくとも安全定水位面まで立ち上げてボイラーに接続し、返り管が空の状態になっても、ボイラー水が安全低水位面付近まで確保できるようにします。これをハートフォード式連結法と言います。
試験では、
給水管は、安全低水面の位置でボイラーに直接取り付けられる。。
というような誤った選択肢として登場することが多いようです。