作業効率化道具編

技能試験 -作業効率化 道具編-

作業の効率化を考える

 技能試験の練習を初めてやってみて、前項で書いたように、脳内でいくらできるつもりでも、実際に40分の短い試験時間に余裕を持って完成できなければお話にならないので、このページでは作業を効率化する手だてを道具の方面から考えることにします。

メジャー

 メジャーを伸ばしたり、引っ込めたりしていては時間がかかるので、ケーブルの切断用に、40cmの定規を置いておくか、、50cmほどメジャーを伸ばして、ビニールテープなどで机に貼り付けておいてはいかがでしょうか。(メジャー・定規、どちらも100円ショップにあり。)
 下の解説書の写真をよくよく見ていると、下が平らになっている四角形の、巻き込みをしないようにロックできるメジャーを置いて使っているようです。でもこれは、置くだけではおそらく不安定です。作業台が狭いので、ちょっとしたことで当たると、倒れてしまいます。
 前項で紹介したHOZAN(ホーザン)の工具セットを買うと、40cmの布尺がついています。さすがかゆいところに手が届く、心憎い入組です。
 この布尺は、ぴしっと伸びはしませんが、ケーブルの長さなどさほど厳密さを要求されているわけではないので、こんな中途半端なものでも、充分役に立ちます。裁縫用の布テープなど、普段は使うこともなく余っているようなものでも案外使えるかもしれません。
 また、あるホームページで裏技として紹介されているのは、100円ショップの巻き尺を40cmで切ってしまう方法です。これだと貼り付ける必要はありませんし、携帯にもかさばりませんから、それもいいかもしれません。

 

VVFストリッパー使用は絶対の前提条件

 シース剥き・絶縁皮膜剥き・露出型コンセント用の輪作りなど、作業のあらゆる面で活躍するのがVVFストリッパーです。これを使わないで、簡単に時間短縮をすることなど考えられません。
 シース剥きは、HOZAN VVFストリッパー P-958を使うと、これに長さの目盛りがついているので、それに当てて計ります。VVFストリッパーを、初め、ケーブルに対して斜めにくわえて、一度握ってからちょっと握りをゆるめ、すぐに横に引っ張ります。あまりぐりぐりやると、絶縁皮膜を傷つけてしまいますから、あっさりやるのがこつです。
 それとは反対に、絶縁皮膜の皮剥きは、同じように簡単にやっていてはうまく剥けませんから、特に3芯の場合などは念入りに、一度握ったときにゆさゆさと揺すってやると、3本同時にでも何とかなるようです。
 ただ、このVVFストリッパー、耐久性という面ではあまり芳しくないようです。私が買ったものは、候補問題を2回ずつ作成する間に、心なしか切れ味が悪くなっているような気がします。
 でも、これが逆にも作用して、シース剥きなどでは、余分な引っかかりが無くなった分、とってもスムースにできるようになっています。
 実用面で手軽だし、熟練いらずで作業が簡単な反面、高い割にそれほど長くは切れ味が持続しないということのようです。
 とはいえ、電気工事士技能試験は時間との戦いですから、少々の出費はけちらないで、これに頼って手早く合格をするのが、経済的にも精神的にも負担が少ないのではないでしょうか。
 再受験ともなれば、受験料が9,300円で、半年待ちですから、VVFストリッパーの購入などは安いものです。

合格ゲージ

 試験で使われる電気用品は、panasonicか東芝か、どのメーカーのものか分かりません。メーカーや製品によって皮膜を剥く長さは違うので、それぞれの機器についているゲージに書いてある被膜剥きの長さを一応確認してから、作業をします。
 スイッチやコネクタ接続用の絶縁皮膜を剥く際、皮膜の長さが2mm長いといってちょっと切ってあわせようとすると、今度は切りすぎて、またもう少し長く剥き直さなければならない。そういうことが結構ないでしょうか。そういうことをなるべくなくすためには、20mmくらいまでは、ミリ単位で正確に皮膜を剥ける様にしなければいけません。
 それができるようになれば、引っかけシーリングを接続する場合などでも、いきなりシースを17mmで剥き、それから12mmで絶縁皮膜、出来上がったら、ゲージに合わせて最終確認をして即取り付けというような手順が可能になります。一般的には、おおよそシーリングの幅のシースを剥き、5mmを残して絶縁皮膜を剥き、ゲージに合わせて芯線を切断するという作業ですから、これができれば、ちょっとした時間短縮が望めます。
 ランプレセプタクルや、露出型コンセントの輪を作る場合も、いきなりシースをそれぞれ4cm、3cmで剥き、皮膜を18mm、L字の折れ目を作って、すぐにのの字作りで済むので、「長めに切ってペンチで切断」という手間を省略できます。
 そのようなことを熟練いらずで、すぐに可能にしてくれるのが「合格ゲージ」です。 これをつけると、かさばるし、あまり格好はよくないですが、意外と便利なアイテムです。
 この製品は、元々P-955用に開発されたのでしょうが、P-956・P-957でも、もちろんP-958でも問題なく使うことができます。
 通販の評価記事では、「合格ゲージは必要ない」という意見も多いです。確かに、HOZANのVVFストリッパーには20mmまではミリ単位のゲージがついているので、それをうまく使いこなせるように練習すれば、合格ゲージなど使わなくても同じ作業ができます。合格ゲージは装着するとどうしてもかさばるので、付けない方が、軽快にストリッパーを使えます。
 でも、ストリッパーについているゲージで正確にミリ単位の絶縁被膜剥きをしようとすると、やはりそれなりに練習して要領を会得することが必要です。
 このストリッパーのゲージは、ストリッパーの鉄板の太さを加えた長さを表示してあるため、正確に手を当てて作業をしないと、長く剥きすぎてしまうことが多くなるからです。
 それでも実用上は、機器についているゲージに当てて切り直せば済むことですから、それで不便だと思うことはさほどないかもしれません。
 でも、試験の時のように、40分という短い時間に制限されての作業となると、話は違ってきます。ちょっとの時間でもそれが積み重なると大きな時間の違いになってくるので、やり直す時間のロスは、やはり少しでも防ぎたいところだからです。
 そのためには、少々軽快さには欠けても合格ゲージを使うか、はたまた、ストリッパーについているゲージで、ミリ単位の被膜剥きが何遍やっても正確にできるように、しっかり練習をするのか、そのどちらかです。
 熟練が一切不要で、やり直す時間のロスを最小限度に押さえることができるという意味で、この合格ゲージは重宝するツールです。「合格ゲージ」という名称自体、元々そういう用途のものだといえるでしょう。
 なお、これの取り付け方ですが、説明書やHozanのホームページにある説明動画のように、1cm単位のゲージがついている側の4あたりに取り付けると、3cmを簡単に計ることができなくなります。
 それでは不便なので、ゲージがついていない面の、1.6mmの被膜剥きにちょうど都合がよいあたりにこれを取り付ける方が、具合がよろしいようです。

試験に合格するだけなら

 試験に合格することだけがすべてなら、スイッチの差し込み口の長さの指定が10mmか12mmかなど一切無視して全部10mmで施工しても、おそらく問題にはなりません。
 試験では、不用意に抜けてしまわなければ、これの接続で問題になるようなことは無いはずですから、おそらくこれが9mmになっても大丈夫ではないでしょうか。
 それが指定以上に長くなって、剥いた銅線がコンセントの外にむき出しになってしまうと重大欠陥になってしまいます。
 差し込みコネクタにしても、芯線の先が出ていない短すぎや、銅線が出てしまっている長すぎはいけませんが12mmが10mmになっても、先端はかろうじて見えてセーフなのではないでしょうか。
 ですから、少々皮膜剥きが不安定でも、合格だけが目的なら、少々の長さは気にせずに、ちょっと短めに施工しておけば、おそらくそれで時間短縮ができます。
 被膜剥きの長さが毎回安定しないのに、なまじっか長さを正確にしようとするから、時間をよけいに食ってしまうことになるのです。
 でもそれって、実際に電気工事士になって施工をすることを考えたら、ちょっと恐ろしい話ですよね。
 指定の寸法は、部品ごとにベストな状態で指定されているはずですから、許容誤差がそれぞれあるはずだとはいうものの、やはりベストな状態に近づけたいものです。試験に合格するためには、時間短縮が至上命令だからといって、電気的にあまり望ましくはないいい加減な作業を練習するのも、あまり気持ちのいいものとは言えません。
 その点、合格ゲージを使えば、そのようなことをしないでも、熟練不要で短時間にきちんとした施工ができますから、これを使って時間短縮を図る方が、精神衛生上具合がいいです。

本番の試験会場では合格ゲージは見かけなかった

 本番の試験会場では、周りをきょろきょろ見回してみましたが、合格ゲージを使っている人は見かけませんでした。
 見るからに本業が電気工事の使い込んだ工具を持っている人も居て、中年の人がとても多かったです。再就職でしょうか。おそらく、学生たちは別の会場だったのでしょう。
 その中で作業をしていて、私が作業を終わって点検に入っても、周りの人は、ほとんどがまだ作業をしていました。
 私が早いのは、練習の回数もさることながら、絶縁被膜剥きで迷うことが一切無く、やり直しもほとんどしないことも大きいと思います。
 ですから私の場合は、合格ゲージは使って正解でした。
 これから実際に電気工事をするようになっても、これは案外重宝するサブアイテムだと思っています。

「合格クリップ」は ?

 ちなみにに言うと、HOZANには「合格クリップ」なるものもあります。しかし、これが試験本番で提出時に残っていると、それだけで不合格になってしまうそうです。
 練習のごく初期の段階で、最終結線前に間違いの総点検をするにはそれなりに意味があるでしょうが、試験本番でそういうことをするのは、それだけ時間のロスになります。
 結線前の総点検など試験本番ではしなくても済むように、手順をシステム化して、簡単には間違いが起こらないように、充分練習をしておくことが必要なのではないでしょうか。
 私は「合格クリップ」も「合格ゲージ」購入時に一緒に買ってみましたが、買ってみただけで袋から出しもせず、結局は食わず嫌いで全く使いませんでした。

小型圧着工具

 リングスリーブ結線時のずれを防ぐためなら、「合格クリップ」を使うよりも、圧着工具をリングスリーブ中用までの小さいものに変える方が効果的かもしれません。
 大まで使える圧着工具は、大振りなため、作業点と持つところとがどうしても遠くなり、スリーブがずれやすく、作業性はあまりよくありません。
 わざわざ圧着工具を買い直すのは高額ですからそこまでの必要はありませんが、リングスリーブ圧着の作業がしにくいようであれば、小さい圧着工具の購入もお勧めです。
 特に女性の場合は、小さい圧着工具の方が握る力も少なくて済みますから、お勧めです。
 でも、小ならいざ知らず中となると、小型の圧着工具でも、扱いやすいとはいえ、やはりかなりな力がいります。
 それとこいつ、なぜか小中の刻印がかなり薄いんです。試験では全く問題はないはずですが、少し気になりはします。

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