技能試験

技能試験もやっつけよう

筆記に受かったら技能試験に挑戦

 筆記試験を受けて自己採点の結果30問以上取れているようなら、技能試験の準備にとりかかります。
 技能試験には、工具が必要です。ペンチ、+-ドライバー、スケール、ウオーターポンププライヤーなどは、ちょっと工作好きな人なら既に持っているのではないでしょうか。
 問題はリングスリーブ圧着工具と電工ナイフです。リングスリーブ圧着工具まで既に持っている方はそれほどいらっしゃらないかもしれません。JIS規格で、○小中大の刻印がつく握り手が黄色のリングスリーブ用が必要です。
 実務に使うなら、大スリーブが刻印できる大柄なものがよいかもしれませんが、電気工事士の技能試験用ならおおむね中まで圧着できるもので十分です。(その年の公表問題で一応、大までは必要ないことを確認はしておいてくださいね)
 握力のない方、特に女性などでは、この圧着工具を握ることが難しいようなので、そのような方は中までの小さいものを準備する方がいいようです。
 大きいものを既に持っているのに、試験合格のためだけに、わざわざ小さい圧着工具を用意するのは無駄でしょうが、使ってみると、取り回しでは、長く大きい工具を振り回さなくてもいい分、小さい方が確かにやりやすいようです。
 それから、ナイフは、受験案内に、「カッターナイフの使用は自粛してください」とあるので、どうしても電工ナイフを用意しないといけません。
 カッターナイフでも似たようなことができるような気はしますが、ケーブルを縦に割って芯線を出すような場合、カッターよりも芯線を傷つける心配がだいぶ減るのは、やはり両方を実際に使ってみて初めて実感できるところです。
 ただ、カッターナイフにしても、電工ナイフにしても、芯線を傷つけないで皮膜を剥くにはこつがありますから、VVRなどが出題されたときに備えて、一応練習はしておかないといけません。
 なお、スケールは、測る度に伸ばしたり引っ込めたりするのは時間のロスになるので、そこに置いて40cmがすぐに測れるものを用意します。(詳細はリンクで)

必ずそろえたいケーブルストリッパー

 以上が、指定工具で、最低限必要なものですが、もう一つそろえたいものにケーブルストリッパーがあります。
 電工ナイフとペンチ・スケールを駆使して作業をするのは職人を感じさせて格好がいいですが、ケーブルストリッパーを使うと、ケーブルの被膜剥きが一瞬で済んでしまいます。技能試験は時間との勝負ですから、作業を手早くかたづけるのに、HOZAN(ホーザン) VVFストリッパー P-958のようなケーブルストリッパーを使う方が間違いがありません。

 また、上記のHOZANのVVFストリッパーを使うなら、写真のような「合格ゲージ」なるものもあります。これをつけると、長めに切って調整することなく、10mmとか12mmとか熟練なしで一発で皮むきできるので、あまり格好はよくないですが意外と便利です。(「合格ゲージ」については、次項で詳しく解説)
 P-958にももちろん使用可能です。
 上の写真のHOZANの工具セットは、必要工具+ケーブルストリッパーがすべて入っていて、割安です。圧着工具・電工ナイフ・ケーブルストリッパーを買いそろえるお金にちょっとプラスすれば全部の工具+収納袋までついてきますから、こういう買い物もありだと思います。
 ペンチなどは、どこの家にもあるものですが、お粗末なものはあっても、意外とブランド品ではないことが多いのではないでしょうか。
 なお、HOZANのセットには、これより少し安い別のセットもありますが、そちらはドライバーがおそまつです。それほどこだわって、わざわざ用意するほどのこともありませんが、電気工事にはやはり握りが丸いドライバーの方が握りが別の形状のものより、確かに使い勝手がよいようです。

プラスアルファーの工具

 以上の工具で必要充分ですが、アウトレットボックスに取り付けるゴムブッシングに切れ込みを入れるためのニッパーVVRの護材剥ぎ取りに使うはさみなどがあるといいかもしれません。
 私は一応これらを用意して、試験に臨みました。

練習用配線部材のセットあり

 通販をのぞいていると、技能練習用の部材セットを一式にして売っていたりしますね。右の写真はHOZANの2回練習用のキットです。
 値段を見ると高いような気もしますが、ホームセンターなどに行って、いちいち必要部材をそろえる手間を考えると、これらのキットで手早く材料をそろえてしまうのもよいかもしれません。
 普通のホームセンターなどでは、たぶん青色のケーブルなど売ってはいないでしょうから、そこらあたりまでこだわるなら、セットで購入するメリットはあるでしょう。
 技能の練習は、最低2回通りはやっておきたいところです。

技能試験用の参考書

 『第二種電気工事士技能試験公表問題の合格解答』私は、これで勉強しました。
 技能試験の候補問題は、受験要項に発表されていますが、実際の試験ではケーブルの長さ・リングスリーブの使用位置など、詳しい施工条件が指定され、それに忠実に作業をする必要があります。
 そのような施工条件の予想は、過去に実施された試験によって各社が予想して解説書を作っていますから、この本でなくとも、何か、受験年度用の解説書(過去の年度のものはダメ)を入手して勉強・練習しておいた方がいいでしょう。
 この本は、過去問の分析による予想問題の精度が高く、結構詳しく技能試験の作業についてどのような点が合否のポイントになるかの疑問に答えるような解説もあり、自分で複線図を書いてみる用紙もあってよいです。
 ただし、私はこの本の複線図の書き方についての解説は、好きではありません。
 この本では、機器やコンセント一つずつについて、接地線と非接地線とを書いてから、スイッチに向かう線を書き、次の機器に向かう配線を書くという具合で、解説しています。
 私は、まず機器やコンセントすべてに接地線をつなぎ、次にスイッチ・コンセントすべてに非接地線をつなぎ(3路の一方、4路を除く)、最後に機器とスイッチとをつなぐというやり方がしっくりくるし、つなぎ漏れも少ないと思うので、本書の様な複線図の書き方は性に合いません。その面では、他書の解説の方がよいかもしれません。ですが、私はこれまでに『マンガで“そこそこ”わかる新第2種電気工事士筆記+技能』などで複線図の書き方は分かっているので、この本の書き方は参考にせず、完成された複線図と自分が書いたものとを照合するだけなので、それでもほとんど不便は感じていません。

 前ページで紹介した黒本の、姉妹書の実技解説書もあります。こちらは、複線図の書き方はいいのですが、その他の施工上疑問になる点に答えるという面では、上の本にはるかに及びません。
 それに、わたり線の作り方では、この本より上のオーム社の本の方が私にはしっくりきます。黒本よりは、電気書院の本の方がまだいいかな。
 なお、技能試験に必須の工具の中にはケーブルストリッパーの指定はありませんが、上で紹介したように、作業を手早くかたづけるには、ケーブルストリッパーを使う方がはるかに時間短縮になります。技能解説書を選ぶ場合には、ケーブルストリッパーを使用した技能の解説がしっかりしているものを選びましょう。
 他に、DVD付きの書籍もあるので、技能も全くの独学でやる場合は、そちらの方が勉強しやすいかもしれません。

電気工事士技能試験の概要と注意すべきポイント

 試験実施団体である電気技術者試験センターが公表した『電気工事士技能試験の概要と注意すべきポイント 』という資料があります。
 ここには、解説書顔負けの写真図解入りで 電気工事士技能試験の欠陥の判断基準なども示してありますから、とても参考になるいい資料だと思います。

技能試験受験準備関係費用

項  目 費 用 備  考
『第二種電気工事士技能試験公表問題の合格解答』 1,296円 この手の本は必須
HOZAN VVFストリッパー P-958 2,879円 他に電工ペンチ、電工ナイフも必須
工具セットを買えば10,400円
合格ゲージ 366円
合格クリップ 516円 買ってみただけ(無用)
技能電線セット(2回分) 10,800円 2回通りは練習しておきたい
部品借用 部品付きなら18,360円
合 計 15,857円 工具セット・部品付きなら
30,938円

やっぱり技能は練習が必要だった

 技能の練習を初めてやってみて、これまでいくらかはケーブル加工やスイッチ・コンセントの取り替えをやっていたことですし、脳内では、すらっと制限時間内にうまく収まって完璧な作業ができるはずだったのに、時間はかかるは、ケーブルを間違うわ、スリーブの刻印記号を間違えるわ、さんざんでした。
 3芯のケーブルのところを2芯で切ってしまったりすると、ケーブルが足りなくなる可能性があり、そうなると一発でアウトです。
 ただその場合も、未完成だと絶対に即×ですが、少々ケーブルが短くなっても完成していさえすれば、まだ救われる余地はある(可能性は高い)ので、あきらめずに完成はさせましょう。
 接地線の白と、スイッチからくる白の線をつないでしまったり、刻印記号を間違ったりすると、芯線を剥き直して、スリーブを圧着し直さなければなりません。そんなこんなで、できあがった作品は見るからにぼろぼろ。時間はかかり放題。やっぱり脳内だけで完璧なのでは、合格作品はできませんでした。
 初日の練習で、初めてケーブルストリッパーを使い、その便利さと使用要領とがかなり分かってきたので、次回の練習からは、師匠の指導の元、完璧を目指してがんばります。

欠陥1つでもアウト

 平成29年度の試験から、軽欠陥・重大欠陥の区別が無くなり、従来軽欠陥とされていたもの(2つまでは減点だけで許されていた)でも、一つのミスだけで不合格になるように基準が変わっています。

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