裏ワザ?

裏ワザ?
裏ワザ本を性懲りもなく買ってみた
『3時間で宅建士試験の点数をあと10点上げる本』を、性懲りもなく買ってしまいました。
「本番試験で数点足りずに落ちて悔しい思いをするくらいなら、こんないかがわしい本で、1点でも2点でもよけいに取れればそれで救われるかもしれない」と、焦った気持ちになって、矢も楯もたまらずに、夜に本屋へ買いに走りました。
この本は、袋とじになっているため、購入前に前もって中身を見ることはできません。
前半部分は、一般的な選択肢の選び方の傾向です。このStage1の目次(購入前に見える)は、以下のようになっています。
- 「必ず~しなければならない」とくれば誤りの選択肢!
- 「常に~である」とくれば誤りの選択肢!
- 「すべて~である」とくれば誤りの選択肢!
- 「直ちに~しなければならない」とくれば誤りの選択肢!
- 「~ことはない」「余地はない」とくれば誤りの選択肢!
- 「~ことがある」「~場合がある」とくれば正しい選択肢!
- 「~に限って、……する」とくれば誤りの選択肢!
- 「~なので……である」とくれば誤りの選択肢!
- 「有無にかかわらず~できる」とくれば誤りの選択肢!
- ( )の中は間違っていない!
- 二択で迷ったときはこう攻めろ!
選択式の問題の場合、正答を回答者の目の前に置いていて、なおかつ分かっていない人には間違いを選ばせなければなりません。正答と誤答とを同じように並べていては、それが正答だとすぐに見抜かれてしまいます。
ですから、正答はなるべく目立たないような言葉にしてさりげない表現にし、逆に誤答は、正確な知識を持っていない者を引きつけやすいちょっと本当かもしれないなと思わせるような専門的な言葉を入れたり、もっともらしい理屈を並べたりして、きらびやかにします。(「~なので……である」など)
宅建の過去問をある程度やっていれば、いかにももっともらしい選択肢が、ほとんど引っかけの選択肢になっていることが、身にしみて感じられるのではないでしょうか。
これは、裏ワザというほどではありませんが、その辺りを意識して問題を解くと、おそらく正答率は上がってくるのではないかと思います。
極端に強調することによって誤答を作る方法
上に上げられた誤答パターンは、ほとんど、ある部分を極端に強調することによって、誤答を作り上げるパターンのことを指しています。
原則はその通りでも、例外が一つでもあれば、「必ず~しなければならない」「すべて~である」とはいえません。
人間の生活に関する事柄ですから、例外のない規則というのはそれほどあるものではありません。ですから、一般法則として誤答のパターンが上の通りだというのは、うなずける話です。
上の誤答は強調するというやり方から言っても、限定された答えの方がされないものよりも強調されますから、正確な知識のない者を誤答に引きつける上でも、このような限定による誤答作りは有効です。
過去問をある程度やっていれば、このような表現に誤答が多いことは、経験上すぐに分かってくることだとは思います。ですから、勉強が進んだ者ほど、つまり教師のような人は、それを「分かり切ったことだ」と否定したくなる気持ちも分かります。
ですが、そのような普段あまり強く意識しないで判断している過程を、改めて明確に意識させてくれることは、学習過程にある人たちにとっては意味のあることだと思います。
なお、このポイントについては、通信教育フォーサイトの教材見本にも、ほぼ同様の記述があります。これを始めに言い出した人は大発見でしょうが、もはや誰でもが知っている公然の裏ワザ?ということでしょうか。
正解肢にわざわざ理由を書き込む必要はない
上の8も言われてみればなるほどで、正解肢にわざわざ理由を書き込む必要はないということが分かります。宅建の問題の正解肢は、むしろ特殊な理由を背景にして、理由を書かずに事実だけを書くことによって、誤りと思わせるようなものが目立ちます。
平成24年-15
C及びDが、E市が所有する都市計画区域外の24,000㎡の土地について共有持分50%ずつと定めて共同で購入した場合、C及びDは、それぞれ事後届出を行わなければならない。
答え 誤り
国や地方公共団体との取引の場合、届け出する必要はありません。取引相手が「市」であることを見逃させておいて、「共有持ち分の場合どうなるか分からないが、半分にしても10,000は超えているから楽勝!」と油断させるから、この選択肢が引っかけになるのです。
もしこのような選択肢において、それが正解であったり間違いであったりする理由を書き込んでいたら、引っかけの選択肢が引っかけの選択肢でなくなってしまいます。
ですから、やはり、選択肢に理由が書いてあったら、「誤りの選択肢であるのではないか」と疑ってかかった方がいいようです。
Stage2は少ない知識で得点できる項目
Stage2は少ない知識で得点できる項目についての紹介です。比較的少ない知識でも、それさえ知っておけば、他は知らなくても、とにかくピンポイントで正解を選び出すことができる基本的な知識というものがある項目があります。それらについて、正確な知識を持ちましょうというのがStage2の裏ワザと称するものです。
どの分野でも、宅建試験においては、生半可な知識では役には立ちません。他の選択肢の正誤が分からなくても、「これだけは絶対に正解だ」「間違いだ」といえる選択肢を一つ見つけることができれば、選択問題は正解できます。
そのような絶対間違いない知識をなるべく増やしていくことが、宅建合格への近道になるのでしょう。
そういう意味で、よく言われるように、正解の選択肢を選ぶことができるだけではなく、誤りの選択肢が誤りな理由も、きちんと言えるようにしておくことで、正確な知識を身に付けていくことが大切です。
この本を読んだおかげで、「絶対これに違いない」と確信を持って言える部分については、他の選択肢は?△でも、あまり迷うことなく、選択することができるようになりました。
法設定の趣旨も大切
自分が実際に宅建の勉強をしているときには、『3時間で宅建士試験の点数をあと10点上げる本』の方が歯切れがよく、自分には役に立ったと思っていました。
でも、いま行政書士の勉強をいくらかした段階で、もう一度見直していると、似たようなことが書かれている本でありながら、『スラスラ解ける宅建士ウラ技合格法』の方が、本質的なことが書いてあるような気がしてきました。
それは、『スラスラ解ける宅建士ウラ技合格法』が、法設定の趣旨を大切にしながら、暗記項目を説明しようとしているからです。その結果、『3時間で宅建士試験の点数をあと10点上げる本』ほど歯切れがよくないので、宅建を勉強している当時の私ではその良さが分かりませんでした。でも、行政書士の勉強をして、解説書だけではなく法律の条文や判例をある程度確認するような勉強に取り組むようになってくると、法設定の趣旨を大切にしなければならないことも分かってきました。
自分の理解度に応じて、よいと思う本も変わってくるということのようです。