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 けっこうあいまいな説明でお茶を濁してあります。

民法の「制限行為能力者」を規定して保護するための仕組み

 「」とは、べろんべろんに酔っぱらった人(泥酔者)や赤ちゃんのように、「自分の行為の結果を弁識できる能力、すなわち『意思能力』を欠いている人」のことです。
 このような人が、仮に住宅を買う契約をしても、そのような契約は無効になります。もともと、契約の効力そのものが一切認められないのですから、これは後から取り消しができるというのとは違います。

 しかし、これも簡単なことではありません。
 そこで、民法では、「単独で確定的に有効な法律行為をなしうる法律上の地位・資格」である「行為能力」を制限されている人たち、つまり、未成年や成年被後見人、被保佐人、被補助人などの制限行為能力者を規定して、これらの人を保護しようと考えました。
 制限行為能力者として後見開始の審判を受ければ、意思能力の有無を議論することなく、これらの人の法律行為の有効範囲を制限して、保護者を付けて保護することができます。

 また、行為能力者が、たまたまべろんべろんに酔っぱらって、その時だけ意思無能力状態になっている人もいるかもしれません。

 契約を取り消すのは、いずれの場合でも、本人・後見人(保護者)ともに可能です。

 なお、補足をすれば、「意思能力」を規定した条文は、民法にはありません。しかし、当たり前のこととされています

「能力」という言葉

 「能力」という言葉は、やや厄介で、注意が必要です。「意思能力」「責任能力」という時の「能力」は、「できる力」という意味で、一般生活で使う「能力」という言葉の意味に近いですが、「権利能力」「行為能力」という時の「能力」は、「できる力」というよりも、「法律上の地位・資格」という意味です。
 ですから、おさるさんはいくら賢くても、人間ではないですから、権利能力は認められませんし、赤ちゃんや植物人間は人間ですから、生きている以上、ほとんど何もわかっていなくても「権利能力=私法上の権利・義務の帰属主体となる地位・資格」が認められることになります。

「制限行為能力者」のまとめ

制限行為能力者まとめ

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 平成17年-1

 自己所有の土地を売却するAの売買契約の相手方に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、正しいものはどれか。

  1. 買主Bが被保佐人であり、保佐人の同意を得ずにAとの間で売買契約を締結した場合、当該売買契約は当初から無効である。
  2. 買主である団体Dが法律の規定に基づかずに成立した権利能力を有しない任意の団体であった場合、DがAとの間で売買契約を締結しても、当該土地の所有権はDに帰属しない。
  3. 買主Eが婚姻している未成年者であり、当該婚姻がEの父母の一方の同意を得られないままになされたものである場合には、Eは未成年者であることを理由に当該売買契約を取り消すことができる。



                                       答え 3

1.「不動産その他重要な財産に関する権利の得喪(とくそう)を目的とする行為」や「借財を保証する」などの民法第13条に規定されている重要行為について、「取り消すことができる」であって、「当初から無効」ということはありません。
 売買契約を、無条件に取り消すことができるわけでもありません。

3.「権利能力がない」のですから、「私法上の権利・義務の帰属主体となる地位・資格」が認められないため、売買契約を締結しても、有効とはなりません。
4.婚姻した未成年者は、成人したものとみなされます。行為能力者ですから、取消はできません。