大人の科学

エジソン式コップ蓄音機
大人の科学シリーズで以前発売されていたエジソン式コップ蓄音機の壊れたやつがあるということなので、借りて直してみました。
ところがこれは、集音・録音をするために紙コップや針を取り付ける部分を差し込んで固定するパイプ3が折れているわ、プーリに取り付けたり、針を固定したりするゴムがどちらも紛失しているわ、更には、説明書の類もまったくないわで、実際に動くように直すまでが大変でした。(左の写真のクリックで録音が再生できます。音はかなり小さいです。声が小さくて聞き取れない場合は、ボリュームを最大にしてみてください。)
でも、実際に録音ができてみると、この音量では全く実用にはなりませんが、こんな簡単な装置で、プラスチックコップなんかに声が録音できるとは、全くの驚きで、とっても面白いです。
ちなみに、ここで録音したのは、「おはよう こんにちは さようなら Neko Fumio」の繰り返しで、最後だけ、「おはよう こんにちは さようなら こんにちは ばかやろう Neko Fumio」と言っています。「ばかやろう」はちょっと聞き取りにくいです。(音量を3倍に拡大した画像はこちら)
情報入手先
エジソン式コップ蓄音機の発売元の情報ページに色々と書いてあります。そしてそこに、日本語のマニュアルはないのに、なんと英文マニュアルがありました。このお陰で、英語は生分りながら、組み立てで注意すべき全容がやっと分かりました。
もう一つ、このキットをかなりきちんとした図面付きで紹介しているPDFがあります。
これの7ページ目に、録音時と再生時の針の角度が図示してあるのがとても参考になりました。
パイプの折れ対策
左(1枚め)の写真のBの部分のパイプ3は、実はCの少し下からAの部分まで本来あるはずですが、元々少し上めに取り付けてある上、ダブルナットの下の所で折れてしまっていました。
本当は、Bの所に取り付けてある木片を◯マークを上にして、CB:BA=1:2 になるようにパイプ3を取り付けると、このパイプ3はCの少し下の位置まで下がっているはずのところでした。これの取り付け位置が多少上がっていることはさほど支障にはなりませんが、折れた支柱はなんとかしないといけません。
そこで、Aのところのボルトを長いものに取り替え、残ったパイプを支えにして、ダブルナットで本来の高さになるように調整しました。(ダブルナットにしておかないと、ナットの位置がすぐにずれてしまいます。)CBの高さが44mmなので、Cから少しパイプが出る高さにすることを考えると、その2倍の高さがABになるので、ABは90mmということになります。
元々のボルトは7cmほどで、これを13cm以上のものに換えなければなりません。しかし、そんなに長いボルトを売ってはいないので、頭のない寸切ボルトを買ってきて、適当な長さに切り、頭には袋ナットをはめました。
ボルトを切って、入り口をヤスリで整えただけではネジがうまくはまっていかなかったので、どうしようかと思いましたが、反対側からボルトを入れ、切った方向にボルトを全部貫通させてしまうことで、切った時におかしくなっていたネジ穴が、修正されたようで、なんとかボルトがはまるようになりました。
これが左の、集音器やスピーカーを兼ねる紙コップを支える部分になります。パイプ3に挿入した時に、ここがぐらつくと、録音・再生が不安定になりそうなので、ぐらつかないようにするために、パイプとボルトの隙間をなるべくなくす様、ちょっとだけビニールテープを巻いてあります。
電線の接続とゴム
電気の接続が不安定ではモーターがきちんと回りませんから、電線の接続部分は全てはんだ付けをしました。
ゴムが切れているところは、モーターの回転を伝えるゴムをどうしようかと考えていましたが、市販の輪ゴムを2本使うことでちょうどいい具合にプーリが回りました。輪ゴムを3本にすると、私が使った輪ゴムでは、少し強すぎたようです。
針を止めるゴムは、上の写真のように、少し幅広のゴムを使うようにこのキットではなっています。少々長いのは、どこかにくるくるっと巻きつけておけば大丈夫です。このゴムが、録音用のプラスチックコップに当たると録音できないようなので、気をつけます。
紙コップの加工
紙コップの中心に、付属の穴あけ用針を半分ほど刺して穴をあけます。それから、コップの底側のなるべく縁寄りに、同じようにして穴をあけます。
キットではこれにすぐにコップの底側から、針用パイプをセロハンテープで貼り付けるようになっています。しかし、そのようにしただけでは、針用パイプがゴムの張力ですぐに穴の奥へ奥へと押されて、針がとても短くなってしまいます。
そこで、コップの内側から、写真のように、割り箸の切れっ端で、針用パイプがそれ以上内に入らないように抑えを貼り付けました。
紙コップを、パネルIに取り付けたコップ受けのパネルJにしっかりと隙間が開かないように取り付け、その後で、コップの内側のまあるい木を、◯印がコップの底を向くようにしっかり挿入します。。
紙コップを取り付ける向きは、パネルIの前側に針の位置を示すマークが打ってあります。先のパイプ3をきちんと取り付けてあれば、針の位置をパネルのマークに合わせると、写真のような向きになっているはずです。左(1枚め)が録音、右(2枚め)が再生時です。それぞれ、7°、15° ほど傾いています。
その他注意すべきこと
針は、51mmの木綿針が付属していました。先があまり丸まっているものは、録音できないそうです。針先を拡大して見てみると良いと思います。
使用するコップは275mlのプラスチックコップが大きさ的にちょうど良いようです。写真に写しているのは、針で傷ついても良いためにとりあえず付けておいたサンプル品です。実際の使用では、ペイントが施されてはいないカップの方がよいはずです。
私はDAISOのクリアカップ 275ml 14個入 でうまく録音できました。
どのプラスチックコップでもうまくいくというようなものではなくて、コップを選ぶようなので、ここらあたりを参考にしてやってみてください。
電池は割合早く消耗します。消耗した電池ではうまくいかないようなので、モーターの動きが悪くなったら、交換してみてください。
録音・再生の仕方
パネルを録音・再生で切り替えます。写真の◯位置が録音用、パネルを左に移動させた▷位置が再生用です。再生時、針を取り付けた紙コップの位置が、録音時よりも下がります。
左(1枚め)の写真が、録音・再生開始時のシリンダーの位置です。蝶ナットが枠に当たる寸前の位置まで、シリンダーを戻します。(元々のキットでは、プーリー横の蝶ナットのところにもゴムチューブを取り付けて、緩衝材にするようになっていますが、この写真にはそれが取り付けてありません。)
ここから、スイッチを右にして、録音・再生を始めます。針がコップの縁に辿り着く前に、録音・再生をやめます。
次に録音・再生するときには、スイッチを左にして、伸びきっているシリンダーを元の位置まで戻します。
録音時、針を置く位置は、あまり発泡スチロールカップの端の方に置きすぎるとうまくいかないようです。滑り止めテープを貼った、一番内側あたりにセットします。うまく録音できる状態のときには、スパイラル状に針がたどった薄い線が付いているはずです。
録音を滑り止めテープの位置を目印にして始めておくと、次に再生する時に針を置く位置の目印になります。
再生時は、録音した時に付いた線の真上に針をセットしなければなりません。これが少しでもずれてしまうと、新たに溝を刻んでしまうので、再生ができないばかりか、録音できているコップが再生不可能になってしまいます。
それは、録音した溝と、再生時についた新しい溝とで、どちらがどちらか分からなくなってしまうからです。
声は大きくはっきりと
針を持って、発声時の震え具合を観察してみると、かなり大きな声ではっきりと発音しないと、振動が小さいようです。普通の声で発音するだけでは、ほとんど針が震えていません。そして発声時は、紙コップに触れてはいけません。触れてしまうと、紙コップの振動が打ち消されてしまうからです。