実技試験はどれを受ける
3級の実技試験はどれを受けるべきか?
ご存知の通り、FPの試験実施機関は、日本FP協会ときんざいの二つがあります。学科は共通問題ですから、受験機関による違いはありません。
実技は、日本FP協会では「資産設計提案業務」、きんざいでは、「個人資産相談業務」「生保顧客資産相談業務」の2科目があります。
どれを選んでも、与えられる資格に効果の差はないので、その中で、自分はどれを選択して受験すべきか、迷うところだと思います。
この中で一般的なのは、日本FP協会の「資産設計提案業務」と、きんざいの「個人資産相談業務」です。「生保顧客資産相談業務」は生保関係の業務に携わる予定、もしくは関心があるならば選べばよいけれども、市販の問題集などで普通対象としているのは、この二つです。
日本FP協会は、6分野全部にわたって出題があり、問題数が20問なのに対して、きんざいは、リスク管理については出題がなく、15問です。
出題形式は、いずれも三肢択一になります。
どれを受けても難しさはさほど変わらない、傾向の違いはあり
前ページでも紹介した通り、私が受けた試験の合格率は下の通りでした。
2016年1月24日実施 3級ファイナンシャル・プランニング
実施団体 | 科 目 | 受験者数 | 合格率 | |
---|---|---|---|---|
きんざい | 学科 | 30.455 | 55.9% | |
実技 | 個人資産相談業務 | 17.474 | 57.3% | |
日本FP協会 | 学科 | 16.583 | 68.6% | |
実技 | 資産設計提案業務 | 15.783 | 81.6% |
毎回似たようなデータで、数字だけから見れば、日本FP協会の方が実技の合格率がだいぶ高いです。ですが、それはあまり見ても意味がありません。
同じ問題の学科試験の合格率を見て分かる通り、日本FP協会で受験する人たちの方が、きんざいで受験する人たちよりも、元々よく勉強しています。
実際に問題を見てみると、発表された合格率の差ほど、難易度の差はないと私は思います。
どちらを選んでも、過去問を何度も解いて対策をしておけば、十分合格できる基礎的な出題です。
ただ、出題傾向は違っていて、日本FP協会の方は、日本FP協会の実技試験にしか出題されない、ライフイベント表や、会社四季報の問題が出るのに対して、きんざいではそういった問題はなく、学科試験で問われることの延長線上の内容となっています。
そして、日本FP協会の方は、問題数が5問多いだけではなくて、時間のかかる計算問題が多いです。
ですから、全くのさらの状態から、学科試験の勉強をした延長で実技試験対策をするのなら、おそらく、きんざいの個人資産相談業務の方が、3級の場合、勉強の手間がかからないはずです。
それなのに日本FP協会の合格率がきんざいより高く出るのは、そういう日本FP協会特有の問題に普段から親しんでいる人たちの受験が多いからではないでしょうか。生保関係の方や、普段から株に親しんでいる人であれば、試験用の特別な勉強をしなくても、これらの問題が比較的簡単に解けるはずだからです。
問題を見て選ぼう
さて、それではどれを受験するのがいいでしょうか。
それぞれ出題傾向には差があるので、自分で過去に出題された問題を見て、やりやすい方を直感で選べばそれで問題ありません。どちらを選んでも、きちんと勉強すれば、大差はありません。下手に合格率を気にして中身も見ずに選ぶよりも、その方がよほどましです。
2級受験のことを考えて選ぶならば
FPを受験しようとするような人は、3級だけで終わりにしようと思っている人は少ないのではないでしょうか。いずれ、2級も受けたいと思っている人が多いと思います。
2級は、3級以上に、日本FP協会ときんざいとで実技の傾向の差が顕著になります。そして、多くの人にとっては、きんざいよりも日本FP協会の実技の方が勉強しやすいはずです。
3級でも、実技試験では、日本FP協会特有の問題が出ると書きましたが、日本FP協会の3級の実技試験の内容は、2級の「資産設計提案業務」のきもの部分だけを問う内容になっています。ですから、3級でそれに対応する勉強をしておけば、2級の実技でもほとんどそのまま使えます。
それを考えれば、3級受験の時に、2級の受験を見据えて、少々手間でも、日本FP協会の実技を受けようという選択肢もあります。
ただ、3級の場合、「資産設計提案業務」の実技だけを対象にした一般の市販問題集は存在しないので、実技の勉強をしにくいという問題点はあります。(2級はあります)
もちろん私のように何も考えないで、多くの人が受けるきんざいの「個人資産相談業務」で3級を受けて、2級では、また何も考えないまま、合格率だけを気にして、日本FP協会の「資産設計提案業務」を受けるというのでも、全く問題はありません。その時に、「資産設計提案業務」用の勉強をし直せば済むことです。
そして私にとっては、そのように選択したのが、結果的には一番よかったようです。
選択肢としては、
3級 2級
◎「個人資産相談業務」→「資産設計提案業務」
◎「資産設計提案業務」→「資産設計提案業務」
○「個人資産相談業務」→「個人資産相談業務」
のどれかでしょうね。私のお勧めは、3つ目よりも、上の2つです。
△「資産設計提案業務」→「個人資産相談業務」
も、悪いとは言いませんが、無駄が多いかもしれません。
受験地も考慮
きんざいに比べ日本FP協会の受験生は半分ほどしかいないので、きんざいの方が受験地の選択肢がだいぶん多いです。
自分の選びたい受験地がきんざいの方にしかなければ、きんざいから選ぶより他ありません。