山登り

大山に登ってきた R4年8月28日

 父に何回も連れていってもらったり、友人や家族と行ったりで、以前はよく登った大山でしたが、今回久々にまた登ってきました。
 大山に行くことはあっても、最近はスキーをしたり、そこら辺でゴロゴロしたりするだけで、山に登ってえらい思いをしようというようなことはとんと思いもしなかったのですが、スキー仲間から、今年夏に大山に登ってきたという話を聞いて、自分ももう一度登ってみようかなという気になりました。
 一つには、最近、昔のContax N のレンズが使える Sony α7 用のコンバーターを手に入れたので、それの試写をしてみるかというつもりもありました。

朝6時から行動開始

 この暑さで、草刈りなど朝の涼しいうちにするのが、大儀でもやはりいちばん楽だということを最近やっと実感しだしたので、暑いさなか登るよりも、朝早くから登った方が楽だろうということで、今回はいつもに似ず、朝6時から登山を開始しました。
 以前、昼前から妻と登り始めて、ノロノロと登っていたら、下りの途中で日が暮れて真っ黒になって、懐中電灯も持っていずとても困ったような経験がある人間からすれば、あり得ない行動です。

豪円湯院駐車場付近

大山寺周辺1 大山寺周辺2

 右が大山寺参道に向かって、左が南光河原方面。

南光河原付近

コージツ

 南光河原へ向かう途中のコージツ。山の中の辺鄙なところにあるのに、こんなところに店を出して経営が成り立つんですかね。土日の昼はかなり賑わっていますが、平日昼や、土日でも夜はいつもガランとしています。なにかキャンプや登山に必要なものを持ってくるのを忘れたような場合には重宝する店ではあります。街中にある小さめなコージツと同じくらいの品揃えがあります。

南光河原 南光河原駐車場

 左が南光河原。右は南光河原の駐車場。
 朝6時だというのに、ここの駐車場はいっぱいでした。ちょっと離れていますが、スキー場用の大きな駐車場(スキーシーズン以外は無料)に車を止めるしかありません。
 夏山登山道の往復だけなので、さほど大した登山ではありませんが、今回は一応登山届をここで出しておきました。

登山道へ

登山口入り口 登山届ポスト

 ここから登山道方面に登ります。もうちょっと車道を登っていくと、キャンプ場があり、その向かって左手あたりからもまっすぐに夏山登山道に登っていく道があります。
 キャンプ場から来る夏山登山道に合流して、少し登ったところの南光河原の奥側から来る道との合流地点にも、登山届の提出場所があります。このポストは何十年も前から変わりませんね。

1合目~4合目

1合目 2合目 4合目

 1合目~4合目のあたりは、このような段々がずっと続いています。ここまで見事に整備されてしまったので、山道を歩いているという感じはなくなってしまいました。
 6合目の避難小屋のあたりまでは、景色が開けていない山の中をずっと登っていかなければならないので、とてもしんどいです。
 これまでもしんどい所だと思ってはいましたが、今回はそれの比ではないくらい、1合1合の間隔がとても長く感じられて、死にそうでした。「もうここで登るのをやめた方がよいかも」というような考えが本気で頭に何度もよぎりました。これまで何度も登ってきた山なのに、こんなところで引き返すなんてありえないことなので、意地で登っていきましたが、60を超えて体力がかなり落ちていたことを考えると、ここでやめてしまっておくのもありだったかなと後になっては思います。
 志賀直哉がご来光を見るために深夜大山登山を試みて、食あたり後の体調不良のため、1時間ほど登ったこのあたりで登るのをやめて帰ってきて、後(のち)随分と寝込んだという話を昔読んで、大したこともないことを大層なことのように書いているような気がして、「軟弱者め」とちょっと馬鹿にしていましたが、「それもあながち笑えない話だな」と思い直した次第です。
 この話は『暗夜行路』の中にあります。今読み直してみると、美保関の灯台や、中海、米子の街の光が見えたというようなことを書いているので、私が思っていたほど下の方ではなく、程々には登っていたのかもしれません。

元谷への分かれ道

 元谷への分かれ道は、5合目を越えてすぐのあたりにあります。昔はもっと6合目の小屋の近くにあったと思うのですが、この道は崩れて何度も整備し直されて、現在はかなり下についている感じです。
 元谷からの道は、中の原のちょっと上ったあたりからとか、大山寺の横を右に登っていくルートなどがあります。元谷までは平坦で、谷の堰堤を渡ったあたりから山登りに入ります。山に登っていく所をもうちょっと谷沿いに登っていくと元谷の避難小屋があります。この避難小屋は、かなり立派で、トイレなども完備しており、冬雪の中で泊まっても快適に過ごせます。とはいっても無人の避難小屋なので、トイレはありますが、暖房や水道などはもちろんありません。
 30年ほども昔、積雪期にこの小屋に泊まりに行った時には、遭難騒ぎがあったようで捜索隊の方が床を占拠しており、コンクリートの土間の上に直に寝て、とてもつらい思いをしたことがあります。
 この元谷からの登山ルートは、登りがかなり急で、全部が階段なので、とってもしんどいです。私はここから登ろうなどとは絶対に思いません。以前、下りなら少々急でも同じルートを往復するより面白いだろうと思って下ったことがあります。が、その時は思った以上にとてもしんどかったので懲りました。下りの急な階段がずっと続くのがとても足にきます。

6合目避難小屋

6合目避難小屋1 6合目避難小屋2

 6合目避難小屋が改築されていました。昔はトイレもなく、雪山などで、不心得な人が小便などをしたりすることもあったようで、とても小便臭い小さなきたない小屋でした。本当に雪山などの非常時に使うくらいで、とてもこの中で休もうと思うようなしろものではありませんでした。
 新しい小屋は、狭い小屋の中に、さらに簡易トイレなどを作っているので、もっと狭くなっている感じですが、ロフトを作って空間を確保していました。今調べてみると2020年に頂上小屋とともに整備し直されたようです。

6合~8合付近

 6合目から8合目までは、小さな石がゴロゴロしているがれた急斜面になっているので、昔からとてもしんどい登りでした。
 しかし今は、ここもかなり崩れが激しいようで、それらの小石を金網などですべて囲って固定しているので、段差の激しい不規則な階段を延々と登っていくような感じになっていて、以前のように足元が不安定で登りにくいという感じはありません。

コージツ

 私は8合目手前にある遠くからも見える1本の立ち枯れた木を目印にして、「あそこまで登ってしまえば8合目で、後は平坦だから」と思っていつも登っていくのですが、今回登ってみると、この木よりもかなり登らないと8合目の標識はありませんでした。登りももうちょっと続いたようです。
 この立ち枯れた木に見えるもの、実は草鳴社ケルンというものなんだそうです。 昭和12年12月5日、安来の登山愛好家パーティーが、下山途中にこの碑のある辺りから登山道をはずれて遭難し、4人パーティーの内の3人が亡くなったのを悼むケルンだったということ、今更ながら、はじめて知りました。
 今は1合ごとに標識が完備されていますが、以前はなくなっている標識も多かったので、避難小屋やこの草鳴社ケルンなどを目印にして、~合目などと考えていました。

8合目~頂上付近

大山頂上間近

 8合目からは傾斜が緩やかになって、かなり楽な登りになります。以前は特に頂上付近で、崩れ落ちていく崖の急斜面のすぐ右を通っていく些(いささ)か怖いところも若干ありましたが、今はこの所が崩れてしまって、道はありません。新たに木道がかなり内側に頂上に向かってずっと伸びています。

コージツ

 この木道ですが、雪がある時に不心得者がアイゼンを付けたまま登ってしまうので、新しいものを整備しても、すぐにえぐれて傷んでしまいます。これだけのものを作る莫大な労力を思うと、整備したものがすぐにボロボロにされてしまう現状にはとても胸が痛くなります。

頂上到着

大山頂上小屋1 大山頂上 大山頂上小屋2 大山頂上小屋3

 9時20分小屋に到着しました。登り始めてから3時間20分です。
 頂上小屋はこれも2020年に改築されて、とても綺麗になっています。ここには売店やトイレなども整備されています。
 正面の入口の他に、積雪期用に高い位置の壁側からも中に入れる入り口が設けてあります。写真左から3枚目の梯子の上右に写っている扉が入り口のようです。
 この小屋では、ガスストーブを持ってきてインスタントラーメンをすすっているような人もたくさんいます。足をけがして動けなくなっていた人もいたようで、ヘリコプターを呼ぶ相談をしていました。
 頂上の標示版です。あたりは霧が出ていて、全く景色が見えませんでした。今は立入禁止になっている弥山頂上に向かう縦走路なども、全く見えません。頂上滞在時間は20分ほどです。

石室付近

頂上から石室へ1 高山植物 夏山登山道頂上付近
石室 石室案内板

 登ってきた道をそのまま引き返すのも面白くないので、石室経由で下山しました。途中景色が広がってよかったのですが、唯一の誤算は夏山登山道との合流手前で、少し登りになっていたことです。こちらのルートを選んだことで少しだけしんどい思いをしました。
 石室は大正10年に整備された緊急避難用の石室です。いわば古墳のような体裁で、奥には神棚が祀ってありました。
 頂上付近では、高山植物を撮影している方が結構いらっしゃいました。「多分うまくは撮れないだろうなあ」と思ってとりあえず撮っておいた一枚です。案の定ピントが合っていません。マクロエクステンションチューブを持ってきといたらと一瞬思いました。

下山に上り以上の時間がかかった

 下山には思いの外苦労しました。これまでならば、下山は登りよりも短時間で楽にできるものと思っていたのですが、今回は違いました。降りても降りても6合目の小屋にたどり着けません。ぼちぼちぼちぼち足元を確かめながら、なんとか小屋にたどり着きます。

救助ヘリ2 救助ヘリ1

 途中、救助ヘリが山頂小屋の方に飛んでいきました。
 優しいおじさんが、「足が大分こたえているようだね。湿布をやろうか。水は持っているか」と声をかけてくれました。とてもありがたい一言でした。
 持参した水は500mlで、少し少ないかなとは思いながら、見切りで持ってきたのですが、この小屋で全部を飲みきってしまいました。やはり一人でも500mlは少なすぎたようです。この後喉がカラカラでした。
 それからが大変でした。
 降りれども降りれども、1合下がったという目印の標識がありません。足はとても痛くなって、普通の人の様に1段を交互にどんどん下りていくような芸当ができません。一段ずつ一段ずつ両足でそろそろと。何度も何度も休んで、びっこを引きながら、なんとか南光河原という標識のところまでたどり着きました。登山届の白箱があるところです。
 いつも南光河原の駐車場の方に向かうのは、もう一つ下りたところだったはずだとは思いながら、ここは標識に従って南光河原の方に向かってみました。この道はずんずん行って南光河原駐車場の一番奥側に下っていました。途中少しだけ登りもあり、登ったときの道よりもやはり少し遠回りでした。
 最後の最後のところで、南光河原をまたぐ堰堤に登らずに、駐車場のところに下りる小道が標識もなくとても分かりにくかったです。ここらあたりの様子を知らない方だと迷いやすいかもしれません。
 1時20分到着。下山時間も登り以上の3時間40分でした。

体重増加が大きい

 これだけ苦労して、帰ってからもびっこを引いて歩かなければならなくなった原因を後から考えてみると、年も年ですが、10年前からでも体重が10Kgも増加しているのが一番大きかったのだと思います。
 いつだったか20年ほども昔、20Kgの荷物を背負って、八甲田山を縦走したことがります。最初の大岳を下るところで足が痛くなって、それ以後びっこを引かなければ歩けなくなりながらも、仙人岱の避難小屋に宿泊後、高田大岳経由で谷地温泉まで縦走しました。このときの敗因は、今まで背負ったこともないテントを含む20kgという荷物を持って歩いたこと。こういう場合登りよりも下りの方が足にはよっぽどこたえるということを実感したところでした。
 この時には、よっぽどこたえて、それまで運動靴だったのを帰りに大阪ですぐに登山靴を買いました。その登山靴を持っていけばよいのに、今回は不用意にも忘れてしまっていました。運動靴では靴の中で足が固定されないので、足の爪が靴に当たり、やっぱりとても歩きにくいのを今回改めて実感しました。
 それと杖。見ていると多くの人が2本杖を持参しています。これだけ足に負担がかかって歩きにくくなってみると、杖の威力が大きいのもよくわかります。八甲田の時には、山の中で拾った枝を2本杖にして、青森駅でよれよれになりながら歩いていたところを東京の親戚にたまたま会ってびっくりされました。杖もたくさん持っているのに、肝心なところで持っていくのを忘れています。
 何れにせよ元々60kgしかなかった体重が、いつの間にか84kgになり、今は94kgもあるのですから、34kgの重りをずっと抱えて歩いているようなものなので、負担がかからない方がおかしいといえばおかしいのでしょう。

重い一眼レフを持っている人が大勢

 びっこを引き引きゆっくりゆっくりでないと下山もできない体たらくになってみると、重い一眼レフを胸にして山を登ってくる人たちがやたらと目に入ります。自分は、荷物といっても Sony α7Ⅱ にコンバータ、Contax N 24-85 が重いだけで、500g の水に軽食、かっぱだけの軽装ですから、歩きづらくなってからは、カメラをリュックに入れてしまえば、さほど苦にはなりません。それでもやっぱり一眼レフはいつでも写せるように胸に抱えていると重いです。
 その重い一眼レフを胸にしている人達を見ると、「よくまあがんばるなぁ」と同病相憐れむ佛の気分です。 

人生最後の大山登山か

救助ヘリ

 これまで何度も登ってきた大山ですが、こうなってみると、「もうこれが最後の登山になるんだろうな」というのを実感します。人間何時までも元気でどこへでも行けるものではないようです。
 写真は当日中の原スキー場から見た大山全景です。
 草鳴社ケルンと木道の写真は、令和6年10月5日の写真で補足しました。

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